2011 Fiscal Year Research-status Report
フランスの対アフリカ外交史研究-フォカール文書の調査
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23530203
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
加茂 省三 名城大学, 人間学部, 准教授 (10410771)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 / フランス / アフリカ |
Research Abstract |
平成23年9月にフランス・パリへ渡航し、フランス国立公文書館ジャン・ピエール・バ館員と面会した。そこでフォカール文書に関する目録を閲覧し、フランスとチャド・ガボンにかかわる文書の閲覧請求を申請した。その際バ館員から、最近編集作業を終えたばかりの、フォカールに関する報道史料を集めたフォカール文書の補足目録を紹介され、閲覧した。目録に掲載されている文書は閲覧請求が不要のため、フランス滞在中に閲覧収集した。その内容は設立から約7年間フランス国民にあまり知られることのなかったフォカールの組織について、その報道振りがまとめられており、その報道へのフォカールの対応も記されていた。これらはフォカール研究においてこれまで全く明らかになっていない貴重な文書であった。なお文書内に引用されている報道記事に関して時間の制約上フランスで入手できなかった記事を平成24年3月に立教大学図書館へ出張して収集した。さらにバ館員からは、フランスとチャド・ガボンにかかわるフォカール文書の補完史料として、フランス西部ナント市にあるフランス外務省外交史料館ナント分館において、文書が公開されたばかりであるとの情報も入手し、次回以降のフランス現地調査でナントへ赴くことの必要性を認識した。閲覧請求した文書に関しては、平成23年11月14日付けでフランス文化省公文書局より返信があり、5文書の閲覧が許可された。次年度のフランス現地調査で閲覧収集することになるが、9月の閲覧請求の際は文書の申請数に上限があったため十分に申請できたとはいえず、次年度の現地調査の際にも目録からの閲覧請求を行いたい。このように平成23年度はフォカール文書の閲覧許可を得たこと、新たな文書を入手できたこと、新たな調査対象となる文書の情報を得たことから、次年度以降の研究成果公表に向けた有益な史料を揃えていくという観点で大変有意義な成果を挙げることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フォカール文書の閲覧がフランス政府によって許可されるか否かが、本研究を進めていく上で最大の焦点であるが、上記にも記したように閲覧請求の結果、5文書に閲覧の許可が降りたことは重要な進展であると考える。フォカール文書に閲覧許可がおりたことは重要な一歩であるものの、フランスの対アフリカ外交史研究を進めていく上で、閲覧許可のおりたフォカール文書だけでは研究を達成することはできないと考える。外交史を再構築する上で、その史料の妥当性を常に確認することは必須ある。そのためにできるだけ幅広く史料にあたることが必要となり、フォカール文書のみならず関連史料の閲覧が必要不可欠となる。その点、フランス国立公文書館バ館員から、フランス外務省外交史料館ナント別館に史料があるとの情報を入手できたことは研究の進捗にとって大変有意義であった。またそういった情報を提供してくれたバ館員と良好な関係を構築できたことも研究の進捗に有益であった。これまでの経験上フランスの場合は組織が人を動かすのではなく、人が組織を動かすという傾向が強い。バ館員と良好な関係を築けたことは、今後の研究の進展に大いに資すると考える。フランスでの研究成果の公表に関しても、フランス側の研究協力者とはコンタクトをとり続けている。研究協力者のローラン・マルシャル・パリ政治学院教授は平成23年10月に来日した際に面会し、現在の研究状況を報告の上、今後の研究の進め方等に関して意見交換を行った。また、ダニエル・バック・ボルドー政治学院教授からは、フォカール文書閲覧の意義を高く評価する旨の連絡を受けている。現在バ館員の好意により入手できたフォカールに関する報道史料に基づき、論文作成を開始している。その内容は学会で報告する予定であるとともに、単著本の一部を構成することになる。また別途購入した図書資料も単著本作成に有益となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
閲覧許可のおりたフォカール文書の収集が優先事項となる。フォカール文書はフランス大統領関連の文書であることから特に機密指定度が高く、文書の複写や写真撮影は一切許可されていない。文書の内容を記録するには、手書きかノートパソコン持参によるタイプ打ちをする他に方法がない。そこで、ノートパソコンを公文書館に持ち込み、開館から閉館時間までの間に、できるかぎりの文書を記録する作業を行いたいことからフランスへの調査出張が必須となる。また、閲覧許可のおりた文書を閲覧すると同時に、閲覧請求申請を行っていないフォカール文書の閲覧請求申請も行いたいと考えている。この点はバ館員に連絡済みであり、次回も再度面会して目録を参照する手順をバ館員から了承されている。さらに可能であれば、国立公文書館のあるパリにとどまらず、補足史料を所蔵しているフランス外務省外交史料館ナント別館のあるフランス西部のナント市を訪問して、史料収集にあたりたいと考えている。なお、フランス外務省外交史料館に関しては、史料の写真撮影が許可されているので、フォカール文書よりも効率よく文書を収集できると考えている。収集した史料を基にフランスのアフリカ外交史を再構築する作業を進めなければならない。そのためには先行研究の確認と史料の検証作業を同時並行的に進める必要がある。先行研究調査に関しては、必要と判断した図書資料を今後も揃えることとする。そしてそこから得ることのできた研究成果は、まずは国内の所属学会で報告を行い、検討を重ねた上で、海外での報告へと準備を進めていきたい。このためには研究協力者とのコンタクトを続けていく。そして個々の成果を論文にまとめ公表した上で、これまでの研究成果とあわせてた単著本出版に向け、執筆の準備を進めていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
フランスへの調査出張をおこなう。なおバ館員より連絡があり、フランス国立公文書館移転作業のため6月末以降フォカール文書の閲覧ができなくなるとのことから、フォカール文書閲覧のためには6月以前にフランスへ出張することとなる。ただしその場合は所属先の授業との兼ね合いもあり滞在期間が限定されることから、出張先はフランスのパリに限定し、フォカール文書の閲覧と新規閲覧請求申請に集中したい。バ館員からの情報であるフランス外務省外交史料館ナント別館の訪問に関しては、研究遂行上必要と考えているが、6月以前のフランス出張の際には時間の制約上、ナントへ赴くのは困難と考えている。そこでナントへの訪問は次回フランス出張の際に行う予定のフォカール文書閲覧請求が許可された段階で、新規に許可された文書の収集とあわせて訪問することを検討しているが、その場合はフランス国立公文書館の再開館が前提となる。再開館に関しては公式な日程が発表されていないものの、平成24年末を予定しているようである。仮に再開館遅れる場合、ナントを単独訪問先とする出張も検討する可能性もある。参照する必要のある先行研究に関する図書資料は随時購入したい。また作成した論文を公表するための印刷や研究成果を報告するための学会出張を行う。
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