2012 Fiscal Year Research-status Report
フランスの対アフリカ外交史研究-フォカール文書の調査
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23530203
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
加茂 省三 名城大学, 人間学部, 准教授 (10410771)
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Keywords | フランス / アフリカ / 外交史 / チャド / ド・ゴール |
Research Abstract |
4月26日から5月7日まで、調査出張を行ったフランス・パリにでは、フランス国立公文書館において、昨年度の調査により閲覧許可のおりたフォカール文書を閲覧し、必要な箇所をパソコンに打ち込み記録した。閲覧が許可された文書には、5AG FPR279(ポンピドー・フランス大統領のチャド訪問(1972年)等)、5AG FPR281(トンバルバイエ・チャド大統領とポンピドー大統領との会談記録(1971~72年)等)、5AG FPR789(ド・ゴール将軍関係等)、5AG FPU5(1963~65年のチャド関連文書)、5AG FPU1509(1963~66年の軍事情勢)が記述されており、さらに以前に閲覧許可のおりている5AG FPR99(赤道アフリカ政治指導者とド・ゴールとの会談記録(1960年3月)等)をもあわせて閲覧した。昨年度の滞在中に14の文書を閲覧申請したが、許可されたのは5文書のみと十分な文書へのアクセスが認められなかったことから、今回も国立公文書館バ館員と面会し、さらに20のフォカール文書への閲覧許可を申請した。その際にバ館員からはフランスの対チャド外交に関する関連史料として、パリにあるフランス国防省の史料館「国防歴史室」(Service historique de la Defense)の訪問を勧められたことから、パリ滞在中に訪問し関連史料を調査した。新たに閲覧申請をした文書に関しては帰国後の9月に結果が通知され、19の文書への閲覧が許可された。また、5月に閲覧し記録した文書に関しては記録した内容をデータベース化し整理しつつ、購入した書籍を参照し研究成果をまとめている。その一方で5月27日に国立民族博物館において開催された日本アフリカ学会第49回研究大会において、「ジャック・フォカールとアフリカ―フォカール文書の調査から」とのタイトルで報告を行い、調査の中間報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度に関しては現地調査を予定通りに十分に進めることはできなかった。その最大の原因は、フランス国立公文書館の移転作業にある。パリ市内にあるフランス公文書館が手狭になってきたことから、パリ郊外への移転が検討されていたようであるが、建物建設の遅れ等でこれまでは移転作業が計画通りに進んできていなかった。本研究課題を準備した時点では、フランス公文書館の移転に関してはその詳細がほとんど決まっていなかったのであるが、それが平成24年になって突如として事態が進展し、バ館員から平成24年夏期にはフォカール文書も移転作業に組み込まれ、6月頃からしばらく閲覧できなくなる旨の連絡をもらった。そこで夏期に予定していた現地調査日程の変更を検討し、当初は移転後の公文書館再開館後(平成25年1月予定)の時期への調査日程変更を検討したが、バ館員からは再開館の時期に関しては確定していないとの助言をもらい、フォカール文書が閲覧不可となる6月以前の時期にあたる5月のゴールデンウィークを利用しての調査となった。ただし調査期間としては十分とは言えず、フォカール文書の閲覧はできたが、その関連文書として閲覧を予定していたフランス外務省の外交文書を閲覧することはできなかった。またフォカール文書に関しても、当初予定していたフランスによるガボンへの軍事介入に関する文書は機密情報が多いとのことで平成23年度に申請したガボンに関する全ての文書に閲覧許可がおりることがなかったため、ガボンへの軍事介入に関しては研究目的から除外し、フランスによるチャドへの軍事介入に絞るとともに、フォカール文書が網羅するフランス・チャド関係を広く調査することとした。その結果、今年度に関しては19の新たな文書への閲覧許可を獲得しており、これらを閲覧しかつ関連史料をフランス外交文書から入手することで研究成果へつなげることに見通しがたった。
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Strategy for Future Research Activity |
フランス国立公文書館の移転作業は無事に終了し、再開館を果たしたようである。そこで平成25年夏期にフランス・パリを訪問して、閲覧許可の下りた文書を閲覧し記録する。その際に、フランス外務省で関連史料の調査も行い、十分な史料の入手と、これまでまとめた研究に関して、フランスの研究協力者と意見交換を行う。さらに研究協力者と相談して、フランスでの研究成果発表の機会を模索する。また国内では、平成25年10月に開催予定の日本国際政治学会2013年度研究大会で報告を申込済みであり、その場で夏期の調査出張によって得ることのできた成果を中心に報告したい。その際準備する報告ペーパーを基にして、論文にまとめ公表する。それ以外にも成果報告の場は機会を見つけて積極的に行いたい。またそうした論文を中心に、これまでの既発表論文等を加えて、フランスのアフリカ外交に関する単著を公刊したい。さらに、フォカール文書を用いた研究成果が少ないことから、フランス語での論文発表も進めていきたい。研究成果を掲載するホームページの作成も進めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、夏期に予定しているフランス現地調査出張、国内での成果報告出張の旅費が主要な支出となる。それに加えて、先行研究に照らし合わせながらの、文書の検討も必要であることから、必要となる文献資料収集への支出もおこなう。
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Research Products
(2 results)