2012 Fiscal Year Research-status Report
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23530214
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神谷 和也 東京大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (50201439)
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Keywords | 貨幣 / マッチングモデル / 非決定性 |
Research Abstract |
平成24年度は、貨幣を含むオークションマーケットの分析、貨幣的均衡の脆弱性の一般理論、貨幣的一般均衡モデルについて分析を行った。オークションマーケットについては、中央集権的、分権的等、様々なケースについて分析を行い、すべての場合について、貨幣的均衡は非決定であり脆弱であることを示した。貨幣的均衡の脆弱性の一般論については、特に貨幣保有分布が連続的である場合について一般的に分析した。結果としては、貨幣保有分布のサポート(台)も変化する場合にはそれを決定化するための方程式が1本必要になり均衡が決定化する場合があることを示した。一方、台の変化を伴わない場合には、均衡は非決定であることを示した。つまり、貨幣価値が貨幣量の連続関数である場合については、これまで階段関数について分析した結果が一般的に成立する場合と、成立しない場合があることを示した。したがって、これまでの貨幣的均衡の脆弱性に関する結果は、連続分布にした場合には限定的な意味でのみ成立することを示したことになる。また、ある種の一般均衡モデルの分析も行った。特に、cash-in-advance制約を含むワルラス市場においてもこれまでに分析されてきた均衡とはかなり異なる性質を持つ均衡が存在することがわかった。また、なぜこのようなことが起きるかを明らかにした。具体的には、cash-in-advance制約に加えて、各期において一定額の貨幣を必要とする場合には均衡は非決定になることを示した。つまり、税金、耐久消費財(分割不可能財)等、各期で決まった額の貨幣を必要とする場合には、非耐久財(分割可能財)の価格が非決定になることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
貨幣的均衡の非決定性および決定性について、新しい論理を発見した。これにより、均衡の脆弱性およびその解消について新しい知見を得ることができた。また、オークションマーケットなどについても、研究を進めた。以上より、研究は順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
貨幣的均衡の脆弱性とその解消に関し、さらに研究を進める。特に、連続無限個の均衡のうち、どの均衡が実現するかについて、フォーカルポイントなど新しい論理や方法を模索する。また、貨幣を含むワルラス均衡モデルについてもさらに研究を進める。特に、キャッシュアドバンスモデルにおいてどのような場合に非決定性が生じるかについてさらに研究を進める。また、このケースにおける均衡の決定化についてさらに研究を進める。特に、税ー補助金による決定化について研究を進めるとともに、これ以外の方法についても研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ある程度研究が進展したので、研究発表および共同研究のための旅費に7割程度使用する予定である。残り3割については、計算用のソフトおよび研究補助のための人件費を考えている。
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Research Products
(2 results)