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2011 Fiscal Year Research-status Report

社会的選好の下でのリスク態度-理論・実験分析

Research Project

Project/Area Number 23530216
Research InstitutionShinshu University

Principal Investigator

西村 直子  信州大学, 経済学部, 教授 (30218200)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2015-03-31
Keywordsミクロ経済学 / 実験経済学 / リスク選好
Research Abstract

研究初年度であるH23年度では,社会的選好の視点からリスク態度の理論的検討を開始した。本研究の特色は,社会的選好を持つ主体が自分の所得と他者の所得を確率変数とする多変量確率分布に関する選好を持つと捉えることにあるため,多変量確率分布上の選好序列の先行研究をベースとして,社会的選好の特徴と整合的なリスク選好を検討している。また,リスクを含まない社会的選好の公理的分析の先行研究が近年複数発表されたことから,それら提案された公理系と,非社会的選好を対象としたリスク態度に関する公理系との関連を検討している。 一方,予備実験を実施した。リスク態度を判定する実験手法の妥当性について近年活発な議論があるため,申請時に既に行っていた予備的実験で採用した方式とは異なる方式を使って予備実験を行った。また新規実験として,被験者の社会的選好を持つ傾向をリスクを伴わないコンテキストで実験し,リスク実験に参加する被験者をあらかじめ類型化したうえで,リスク実験を実施した。今回の新規実験では,自分と他者との相対的所得関係を一定にしたまま所得リスクを導入した。これによって,社会的選好の類型のひとつである「不平等回避」型の選好がリスク選好に及ぼす影響を排除することができる。現時点でのデータ分析によれば,社会的選好を有すると類別された被験者は,社会的選好を仮定しない理論予測とは異なるリスク選択を行うことを観察した。また,不平等回避型と分類された被験者は,他のタイプに分類された被験者と異なる選択行動をとる傾向があることも観察された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

申請当初の予定に即し,まず多変量確率分布上の選好序列の先行研究文献を収集し,社会的選好の特徴と整合的なリスク選好についての検討を進めている。また,リスクを含まない社会的選好の公理系に関する最近の新しい研究結果について先行研究を探索し,上述のリスク選好への拡張と多変量確率分布上の選好序列との整合性の検討を新たに始めた。 実験研究の面では,予備実験の拡張を行った。リスク態度を判定する実験手法の妥当性について近年活発な議論があるため,申請時に既に行っていた予備的実験で採用した方式とは異なる方式を使って予備実験を行った。また新規実験として,被験者の社会的選好を持つ傾向をリスクを伴わないコンテキストで実験し,リスク実験に参加する被験者をあらかじめ類型化したうえで,リスク実験を実施した。今回の新規実験では,自分と他者との相対的所得関係を一定にしたまま所得リスクを導入した。これによって,社会的選好の類型のひとつである「不平等回避」型の選好がリスク選好に及ぼす影響を排除することができる。以上の実験結果をベースに次年度には本実験実施のための実験計画を設計する予定である。

Strategy for Future Research Activity

次年度以降,引き続き多変量確率分布上の選好序列の視点から,社会的選好の特徴と整合的なリスク選好の分析を継続する。また,H23年度に実施した予備実験に基づき,本実験の実験計画を精緻化し,新実験計画に基づく予備実験を実施する。できれば,年度中に本実験を実施し,本格的なデータ収集とその解析に移行する。さらに,H23年度における単純なリスク選択実験にゲーム的要素を追加したリスク選択実験の検討を開始する。異なるゲームに被験者を参加させることで他者との関係を変化させ,それがリスク選択に影響を及ぼすか否かを検討する新たな実験デザインを構築し,時間的な余裕があれば予備実験を実施する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

理論・実験研究両面に関する資料収集を継続する。予備的考察の報告機会を見つけ,助言を求めることも進めたい。また,H23年度の実験プロジェクトの本実験を実施し,データ収集とその解析を行う。さらに,H23年度の単純なリスク選択実験デザインに加え,ゲーム的要素を組み込んだリスク選択実験へ移行する。異なるゲームに被験者を参加させることで他者との関係を変化させ,それがリスク選択に影響を及ぼすか否かを検討する新たな実験デザインを構築し,予備実験を行うことを予定している。H23年度における予備実験を論争の少ないリスク態度を測る実験手法で行ったことで,結果的にこれにかかる実験費がより少なく済んだため,繰越金が発生した。この繰越金を,次年度の実験実施計画へ追加的に充当する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2011

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] Spite and Reciprocity in Auctions2011

    • Author(s)
      Naoko Nishimura, Timothy Cason, Tatsuyoshi Saijo, Yoshikazu Ikeda
    • Journal Title

      Games

      Volume: 2(3) Pages: 365-411

    • DOI

      doi:10.3390/g2030365

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2013-07-10  

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