2013 Fiscal Year Research-status Report
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23530218
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中嶋 智之 京都大学, 経済研究所, 教授 (50362405)
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Keywords | マクロ経済学 / リスクシェアリング / 非完備市場 |
Research Abstract |
平成25年度も、昨年度から引き続き、以下のプロジェクトについて研究を行った。(1)開放経済で流動性の罠に陥った場合の望ましい金融政策について、(2)非完備市場における最適課税政策、(3)金融市場の不完全性がもたらす国債価格とインフレーションに対する影響、(4)金融機関に関わるシステミックリスクのaggregate economyに対する影響、(5)Debt restructuringとdebt overhangの動学的一般均衡分析、(6)安全資産の供給が過少なケースにおけるバブルの発生について。 (1)については、成果をまとめた論文がJournal of Monetary Economicsに掲載された。(2)については、労働者の労働生産性が外生的に決まるケースを2期間モデルで分析したものと、人的資本蓄積の結果として決まるケースを無限期間で考察したものの2本の論文にまとめたものを、それぞれ、国際的な査読誌に投稿し、revise and resubmitの要請が来たため、それに応じて改訂を行った。(3)については、空売り制約を緩めた場合の分析を行い、それに応じて論文の改訂を行った。(4)については、成果を論文にまとめ、国際査読誌への投稿を行った。(5)については、基本モデルを拡張し、数量分析を行った。(6)については、成果をまとめ、国際査読誌への投稿を行い、revise and resubmitの要請を受けて、論文の改訂を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度において執筆・改訂した論文は以下のとおりである。(1)"Global liquidity trap." (2)"Optimal taxation and debt with uninsurable risks to human capital accumulation." (3)"Constrained inefficiency and optimal taxation under uninsurable risk." (4)"Why prices do not respond sooner to a prospective sovereign debt crisis." (5)"A macroeconomic model of liquidity crises." (6)"Dynamic debt restructuring and evergreening." (7)"Safe asset shortages and asset price bubbles."(1)については、マクロ経済学のトップジャーナルであるJournal of Monetary Economicsに掲載され、(2),(3),(5),(6)は国際査読誌へ投稿済みであり、(4)と(6)は投稿に向けた準備中である。さらにそれらの成果については、University of Zurich、神戸大学、東北大学、京都大学などで研究発表を行った。これらの点から、研究はおおむね順調に進んでいると評価できると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も、以下のテーマについて研究を行っていく予定である。(1)非完備市場における望ましい課税政策について。(2)政府が財政破綻する可能性がある際の、国際価格やインフレーションの動学的分析。(3)金融機関のシステミックリスクの動学的一般均衡分析。(4)Debt restructuringの動学的一般均衡分析。(5)開放経済における望ましい金融政策について。(1)については、京都大学の梶井教授、European University InstituteのGottardi教授とのこれまでの研究に加えて、Federal Reserve Bank of AtlantaのBraun博士とKopecky博士との共同研究プロジェクトを新たに開始する予定である。(2)については、これまでのBraun博士との共同研究を、(3)-(4)については、慶應大学の小林教授との共同研究を、(5)については、慶應大学の藤原教授との共同研究をそれぞれ進展させていく予定である。特に、今年度はFederal Reserve Bank of Atlantaに1月末まで滞在する予定であり、Braun博士とKopecky博士との共同研究の発展が見込まれる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額:973,713円 今年度に当初予定していた海外出張において(アトランタ・Federal Reserve Bank of Atlanta、 Braun博士との共同研究)、日本国内での共同研究や研究発表等が優先的に遂行したことにより、平成26年度にアトランタ(アメリカ)への長期海外出張の計画を変更する必要がある。 平成26年8月4日~平成27年1月31日までアトランタ長期出張(用務先:Federal Reserve Bank of Atlanta)において滞在費として使用する予定である。 使用予定の滞在期間:8月4日~8月25日、10月6日~10月31日、11月26日~12月15日、1月11日~1月31日
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