2013 Fiscal Year Annual Research Report
「消費分散選好」という行動学的概念を用いたゲーム理論と投資理論の応用分析
Project/Area Number |
23530219
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
若井 克俊 京都大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (80455708)
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Keywords | 経済理論 / 意思決定論 / ミクロ経済学 / 行動経済学 |
Research Abstract |
平成23-24年度は「消費分散選好」(効用の高い消費と低い消費を繰り返す傾向)の基礎・応用研究を行った。基礎研究では、「消費分散選好」と「曖昧性回避」(不確実性を避ける傾向)、および、非「単調増加性」(ある期間の消費を増やすことで逆に満足度が下がる傾向)との関係を考察した。応用研究では、「消費分散選好」が経済成長に与える影響を分析した。研究成果はレフリー付学術雑誌「Decision and Theory」に1本、「The Japanese Economic Review」に1本、「Economics Letters」に2本刊行されている。また、平成25年度は以下の研究を行った。 1.「消費分散選好」を不確実性下に応用するための基礎研究を行い、その成果をレフリー付き学術誌「Economic Theory Bulletin」に投稿した。具体的には、不確実性のある異時点間の意思決定において、異時点間の消費系列に対する効用を所与として不確実性を評価するモデル(Risk Aversion with Many Commdities, Kihlstrom and Mirman (1974) )を無限期間モデルに拡張した。特に、意思決定の時間的整合性をもとに期待効用を無限期間モデルに応用するという形式で公理化を行い関数表現モデルを導出した点が意思決定論の分野における理論的貢献である。 2. 「消費分散選好」に基づいて繰り返しゲームにおける応用分析を行い、その成果を「ゲーム理論ワークショップ2014」で発表した。具体的には、2つの割引率を持つ「消費分散選好」型の効用関数を繰り返しゲームに適用して均衡解集合を分析し、企業間におけるカルテル形成の問題に応用した。特に、損失を回避する傾向を表す割引率がカルテルを維持するうえで決定的に重要であることを示した点が理論的貢献である。
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