2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530229
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
丸田 利昌 日本大学, 大学院総合科学研究科, 教授 (60295730)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ゲーム理論 / 均衡選択 / 確率安定性 / 囚人のジレンマ |
Research Abstract |
複数集団確率進化モデルの研究成果である論文"Stochastically stable equilibria in n-person binary coordination games"を,Econometric Society European Meeting @ University of Oslo において報告した(2011年8月). この論文は,後に国際査読制雑誌 Mathematical Social Sciences に掲載された(Vol.63, Issue 1, January 2012,p31-42).この成果をふまえ,現在は協力集団形成ゲームにおける均衡協力集団の確率安定性についての考察を進めているところである.これは本研究の主要部分となるものであり,未だ具体的な成果としては結実していないが,一般論および具体例のそれぞれにおいて重要な進展が得られている.本研究における協力集団形成ゲームとは,n人囚人のジレンマ状況において,プレイヤー間の同意が得られれば集団として協力行動にコミットすることが可能な場合をゲームとしてモデル化したものである.様々な社会を比較すると,「協力行動が定着している社会・していない社会」を区別することができ,その背後にはおそらく「協力行動をとる傾向の強い人・弱い人」の存在がある.協力集団形成ゲームの研究を通じ,この意味での「社会における協力達成度の違い」についての理論的解明を目指す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文"Stochastically stable equilibria in n-person binary coordination games"(Mathematical Social Sciences, Vol.63, Issue 1, January 2012,p31-42)の成果をふまえ,現在は協力集団形成ゲームにおける均衡協力集団の確率安定性についての考察を進めているところである.ここで協力集団形成ゲームとは,n人囚人のジレンマ状況において,プレイヤー間の同意が得られれば集団として協力行動にコミットすることが可能な場合をゲームとしてモデル化したものである.このモデルの探求が本研究の主要部分となるものであり,未だ具体的な成果としては結実していないが,次の事柄がすでに明らかとなっている.(1)狭義ナッシュ均衡が複数存在する.(2)狭義ナッシュ均衡のそれぞれは,成立しうる異なる協力集団に対応している.(3)それらの中でどの均衡が最も安定なものであるかという問いに対し,確率安定性をもって解明を試みる.そのために必要となる最小誤反応数の評価についての一般論が得られた.(4)その成果をいくつかの具体例(公共財供給ゲーム)に適用し,確率安定な協力集団を求めた.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,協力集団形成ゲームにおける均衡協力集団の確率安定性についての考察を進める.現時点で得られている一般的結果は,具体例に適用する場合にやや煩雑な計算を必要とする.この点を改良することを通じて,より多様なゲームにおける確率安定な均衡協力集団の特徴づけを目指す.並行して,確率安定性研究の最前線について学ぶため,関連諸学会等に積極的に参加する.23年度に比較して,24年度は該当する学会が多いことが23年度中に明らかになったことから,様式F-6-1「実施状況報告書」の「次年度使用額」を含めてこれにあたる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
関連諸学会等への参加に伴う参加費・旅費.関連文献の購入と資料収集.
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Research Products
(2 results)