2012 Fiscal Year Research-status Report
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23530229
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
丸田 利昌 日本大学, 大学院総合科学研究科, 教授 (60295730)
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Keywords | ゲーム理論 / 均衡選択 / 確率安定性 / 囚人のジレンマ |
Research Abstract |
複数集団確率進化モデルの研究成果である論文"Stochastically stable equilibria in n-person binary coordination games"が,国際査読制雑誌 Mathematical Social Sciences に掲載された(Vol.63, Issue 1, January 2012,p31-42).この成果をふまえ,平成24年度は協力集団形成ゲームにおける均衡協力集団の確率安定性についての考察を進めた. 本研究における協力集団形成ゲームとは,n人囚人のジレンマや自発的貢献にもとづく公共財供給問題に類似の状況において,プレイヤー間の同意が得られれば集団として協力行動にコミットすることが可能な場合をゲームとしてモデル化したものである. 研究を通じて得られた結果を,“Group formation and heterogeneity in collective action games”として12th Society for the Advancement of Economic Theory Conference @ University of Queensland(平成24年6月)にて,“Equilibrium Cooperative Groups in Collective Action: Characterization and Selection”として UECE Lisbon Meetings in Game Theory and Applications 2012 @ ISEG/Technical University of Lisbon(平成24年10月)にて報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の一方の柱である複数集団協調ゲームの理論的考察が,論文"Stochastically stable equilibria in n-person binary coordination games"(Mathematical Social Sciences, Vol.63, Issue 1, January 2012,p31-42)として結実した.他方の柱である協力集団形成ゲームにおける均衡協力集団の確率安定性については,以下のような研究の進展を見ている. 考察の対象は,協力集団形成ゲームである.これは,n人囚人のジレンマや自発的貢献にもとづく公共財供給問題に類似の状況において,プレイヤー間の同意が得られれば集団として協力行動にコミットすることが可能な場合をゲームとしてモデル化したものである. 次の事柄がすでに明らかとなっている.(1)ゲームは複数の狭義ナッシュ均衡を持つ.(2)それらは,成員数の異なる複数の協力集団に対応している.それらの中でどの均衡が最も安定なものであるかという問いに対し,確率安定性をもって解明を試みている.(3)均衡成員数が「大」と「小」の2種類に限られるという2-タイプゲームの場合,危険優位基準に類似の指標が存在し,この大小比較により確率安定均衡を求めることができる.ここで危険優位基準とは,2人2戦略協調ゲームの均衡選択に深くかかわることが従来から知られている指標であり,結果(3)は,集団形成ゲームの確率安定性と協調ゲームのそれを統一的に理解する可能性を示唆している.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,協力集団形成ゲームにおける均衡協力集団の確率安定性についての考察を進める.現時点で得られている結果を公共財供給ゲームなどに応用する一方,より一般的な結果を導くことを通じより多様なゲームにおける確率安定な均衡協力集団の特徴づけを目指す.並行して,確率安定性研究の最前線について学ぶため,関連諸学会等に積極的に参加する.計画最終年度である平成25年度中に,考察の最終版を投稿論文として完成し,国際査読制雑誌への掲載を目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
関連諸学会等への参加に伴う参加費・旅費.関連文献の購入と資料収集.
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Research Products
(2 results)