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2013 Fiscal Year Research-status Report

イギリスにおける自由貿易主義と均衡的国民経済主義との相克

Research Project

Project/Area Number 23530237
Research InstitutionYokohama National University

Principal Investigator

松永 友有  横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 教授 (50334082)

Keywords自由貿易 / 自由主義 / 保護主義 / 均衡的国民経済 / ケインズ / ホブソン
Research Abstract

英語論文'The Paradoxical Coexistence between Free Tradism and Economic Nationalism within Left Liberals in Britain'を作成し、目下著名な国際ジャーナルであるEnglish Historical Reviewに投稿中である。
この論説においては、イギリスにおける自由党左派の系譜に連なる経済学者ホブソンとケインズの経済思想を主たる対象とし、イギリス特有の思想的布置状況の中に位置づけることにより、両者の国際経済思想の特質を明らかにした。すなわち、イギリスにおける保護主義思想は、帝国特恵関税構想を通じて帝国主義と結びつくのみならず、地主階級のヘゲモニーとも結びついたことにより、非常に右翼的な性質を強く帯びていた。その一方で自由党左派は、不労所得階層に対して生産者利害を重視し、製造業を軸とする均衡的国民経済の維持を図るという点では、保護主義者と共通する理念を有していた。その結果、自由党左派は、深刻なディレンマに陥る結果となった。つまり、生産者利害重視と均衡的国民経済の理念の上では保護主義と本来親和性が高かったにも関わらず、イギリス保護主義の右翼的な傾向のゆえに、自由貿易主義を唱えざるを得ない、というディレンマである。
ホブソンとケインズの両者の国際経済思想は、保護主義に対する姿勢のうえで非常な曖昧さを有しているという点について従来の多くの研究は既に指摘したが、上記の状況を踏まえることにより、本論説は、ホブソンとケインズ両者の国際経済思想について、従来にないオリジナルな視点から解明を試みたものであると言える。
その他、論説「イギリス商務院の武器輸出管理政策と外務省との角逐」を公刊した。この論説においては、武器輸出政策を焦点として、イギリスにおける対外的通商政策をめぐる思想状況を照射した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本科研費研究課題における主要研究テーマに関して、約1400ワードにおよぶ英語論文'The Paradoxical Coexistence between Free Tradism and Economic Nationalism within Left Liberals in Britain'を執筆した。プルーフリーディングを経て、世界の歴史学ジャーナルトップ10の中の一つであり、英語圏における最古の歴史学ジャーナルの一つである『イングリッシュ・ヒストリカル・レビュー』に投稿中である。
また、それ以外にも、イギリスの武器輸出管理政策に関連づけて、イギリスにおける対外的通商政策に関する官僚機構の思想状況を究明した論説「イギリス商務院の武器輸出管理政策と外務省との角逐」を、横井勝彦編『軍縮と武器移転の世界史』日本経済評論社、2014年3月中の一編として公表した。

Strategy for Future Research Activity

イギリスの左派自由主義者内における、均衡的国民経済主義と自由貿易主義との相克という論点については、ホブソンとケインズの経済思想を主たる対象として、かなりの程度明らかにし得たと思われる。
次いで、イギリスにおける独自の経済的思想状況を国際比較の観点から明らかにするため、アメリカ合衆国における同時代の革新主義思想の対外的経済思想を究明する作業に取り組みたい。そのため、革新主義の拠点であったウィスコンシン州などを中心に、史料収集をおこなうための海外出張を予定している。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

2013年2月28日から2014年2月24日にかけて、横浜国立大学の在外研究制度によりイギリスのオックスフォード大学において在外研究に従事した。そのため、かなりの余剰金が生じた。
イギリスにおける自由主義者の対外的経済思想と比較考察するため、19世紀末期から20世紀初頭にかけてのアメリカ合衆国における革新主義経済思想について調査をおこなう予定である。その目的に即して、アメリカにおける調査旅行のための支出を予定している。

  • Research Products

    (1 results)

All 2014

All Book (1 results)

  • [Book] 軍縮と武器移転の世界史2014

    • Author(s)
      横井勝彦、西川純子、小野塚知二、奈倉文二、松永友有ほか
    • Total Pages
      428
    • Publisher
      日本経済評論社

URL: 

Published: 2015-05-28  

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