2012 Fiscal Year Research-status Report
ジェームス・ハリントンの経済思想─英蘭の同時代共和主義者との比較の観点から─
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23530239
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹澤 祐丈 京都大学, 国際公共政策研究科, 准教授 (60362571)
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Keywords | ハリントン / 共和主義思想 / 英国共和主義 / オランダ共和主義 / 共和主義の経済思想 / デ・ラークール兄弟 / ニーダム / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本年度は、第一年度での論点の確定と英蘭共和主義研究の動向把握を踏まえて、ハリントンの著作を精読し、そのproperty論と土地均分相続法agrarian lawを分析することによって、それらがハリントンの政治的主体の議論や歴史変動認識とどのような連関を持つのかを分析することを目標としていた。 この作業は、主として同時代の英国共和主義者ニーダムとの比較を念頭におこなう予定であったが、ニーダムと密接な関連を持つジョン・ミルトンをも含めた。その理由は、ミルトンが、ハリントンの土地均分相続法に対する批判を行っており、その批判の含意や同時代的な意味を確定する必要を感じたからである。 その結果、当初予定していた共和主義者以外の同時代人であるG. Winstanley、J. Locke、Levellers、そしてDiggersの議論との比較分析を十分に行うことができなかった。したがって17世紀英国という文脈におけるハリントンのproperty論の意義と特徴とをより明瞭に把握するためには、これらの思想家との比較分析を次年度においても継続する必要があると考える。 まだ前年度からの課題であるオランダ共和主義思想との比較分析は、継続して行ったが、事前調査を超える多数の重要文献の存在が明らかになり、それらの分析を精力的におこなってきたが、そこからハリントンのProperty論の特徴を析出するのに効果的な項目の抽出作業は、やや遅れている。したがってこの作業も次年度に引き続いて行いたい。 以上に関連して、オランダ学士院ローマ資料館において開催された国際会議「THE MAKING OF THE HUMANITIES III」に参加および参加者との当該研究課題に関する意見交換や、同資料館での資料収集、各種の国内学会・研究会においても関連分野の研究者と、当該研究課題に関する意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ハリントンを中心とする英国共和主義者の著作とそれに関する重要な二次文献の分析作はほぼ順調に進捗したものの、年度内に刊行された、オランダ共和主義思想に関する重要書籍の読解・分析作業が校務などの要因でやや遅れている。また年度内に刊行予定であった論文の完成がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
オランダ共和主義思想の実態解明作業の遅れを取り戻しつつ、文献研究と海外資料調査、ならびに、内外の関連研究者との積極的な意見交換を通して、本研究の最終年度としてのまとめの作業を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究課題に関係する内外の重要文献の購入、海外資料調査や内外の関連研究者との意見交換のための旅費、データーベース利用権の購入などを予定している。
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