2013 Fiscal Year Annual Research Report
ジェームス・ハリントンの経済思想─英蘭の同時代共和主義者との比較の観点から─
Project/Area Number |
23530239
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹澤 祐丈 京都大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (60362571)
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Keywords | ハリントン / 共和主義思想 / 英国共和主義 / オランダ共和主義 / 共和主義の経済思想 / デ・ラ・クール兄弟 / ニーダム / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究は、同時代の英国共和主義者ニーダムやオランダ共和主義者たちの議論と対照させつつハリントンの著作を読み直すというこれまでにあまり採用されてこなかった接近法によって、彼の経済思想の解明をおこなうことを目的としていた。 本年度は、ニーダムと密接な関連を持つジョン・ミルトンによる、ハリントンの土地均分相続法に対する批判の含意の分析を中心に研究を行った。この課題は、前年度までの研究活動から重要性を再確認したことである。 そこで得られた主たる知見は二つある。第一に、ミルトンの批判がハリントンそのものへの批判というよりはむしろ、ハリントンの土地法が持つ経済的平等化を志向する傾向をより急進化したハリントン派の土地論に向けられていたというものであった。 第二に、(先行研究でも指摘されていたが)1650 年代 の共和国体制が推進した対外的な商業政策の支持者と比べると、ミルトンやハリントンは商業の積極的な意味を低く見積もる「かなり保守的」な性格を持つことである。これは、同時代のオランダ共和主義思想との対照的な側面である。そして英蘭の共和主義思想が持つ、商業に対する見解の相違をより詳細に分析するためには、それと国益との関係を議論したオランダの思想家グロティウスや、その需要を積極的に推進した英国の思想家ジョン・セルデンのプロパティ論などとの比較検討が今後の重要な課題になることを把握した。 以上に関連して、各種の国内学会・研究会において関連分野の研究者と、当該研究課題に関する意見交換を行った
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