2013 Fiscal Year Annual Research Report
確率的コピュラモデルの統計的推定とそのファイナンスへの応用
Project/Area Number |
23530250
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
中村 信弘 一橋大学, 大学院国際企業戦略研究科, 教授 (90323899)
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Keywords | 確率的裾依存性コピュラ / 確率的ヴァインコピュラ / 粒子フィルター法 / CVaR最小化 / レバレッジ付き確率ボラティリティ / テールリスク・パリティ / 動的条件付きコピュラ / ボラティリティ・パズル |
Research Abstract |
研究最終年度である平成25年度は、まず、相互依存性が時変する外生変数で記述される動的条件付きコピュラ関数のクラスを研究した。特に、周辺モデルとしてGARCHモデルを選択し、各周辺モデルの条件付きボラティリティの線形和でコピュラ関数の依存パラメータが表されるものを考察した。2変量から多変量に拡張した動的条件付きヴァインコピュラモデルを考案し、実証を行った。応用として、リスク・パリティの概念を用いた投資戦略と組み合わせてバックテストを行い、その特徴を分析した。 次に、通常のトータルリスク型のリスク・パリティからテールリスク型のポートフォリオ最適化に拡張する研究を行った。CVaRで表現されたテールリスクを各資産で等分担するリスク・パリティ(TRP)と所与のバジェット比で分担するリスク・バジェット(TRB)投資手法のそれぞれの特徴を、通常の最小分散投資や最小CVaR投資と比較し分析を行った。資産リターンの非正規性に関しては、コピュラ関数でモデル化し、テールリスク寄与度分析を行った。多変量化に関しては、ヴァインコピュラを援用してモデル化し、TRB投資のバックテストを(TOPIX,JASDAQ,Mothers,J-REIT)の4資産について行った。 研究期間全般を通じた成果をまとめると次のようになる。従来のコピュラモデルは、変数の相互依存構造が静的であったのに対して、それを動的な確率的依存構造をもつものに一般化した点に本研究の意義がある。依存構造に潜在変数が入る統計モデルであるため、 最尤推定は難しく、新たな統計的推定方法を確立する必要があり、MCMCや粒子フィルター法の適用を試み、実装の容易さと、計算効率の観点から粒子フィルター法を採用するに至った。多変量化に関しては、柔軟な依存構造を取り込むことが可能なヴァインコピュラ関数が有力な選択肢であることを確認し、様々なファイナンスへの応用例を研究した。
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Research Products
(5 results)