2013 Fiscal Year Annual Research Report
日本の家計の住宅ローンタイプの選択と住宅取得及び住宅ローン需要行動の実証分析
Project/Area Number |
23530257
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
森泉 陽子 神奈川大学, 経済学部, 教授 (20166383)
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Keywords | 経済統計学 / 計量経済学 / 住宅金融 / 住宅経済 / 都市経済 |
Research Abstract |
日本は他の先進諸国の中でも際立って,住宅ローンの種類が多く多様化している.このような場合の借手のローン選択行動は複雑であり,実証分析を行う場合には多くのハードルがある.本年度の研究ではこの点に重点を置いた. 多種類のローン選択行動を多岐選択モデルの1つであるミックスドロジットモデルで推定し,同時に住宅ローン需要関数の推定も行った.用いたデータは住宅市場動向調査(国交省)の個票である.住宅ローンの種類を5に分けかつ,サブプライム前後の時期で推定を行った.その結果(1)2004年~2006年では金利の変数は有意に負となった.一方,(2)サブプラム金融危機を挟んだ2007年~2009年では金利変数は有意にならなかった.(1),(2)の結果から,借手は平常期には金利に敏感に反応するが,金融危機時には,金利以外の要因,例えば借手の不確実性(失業など)に対処してくれるローンを選ぶ傾向があることを示している. 住宅ローン需要関数を同時推定した結果,長期固定金利型ローンの金利変数への反応が有意に負であった.これは日本では住宅ローンの仕組み上,このタイプが市場金利を最も反映しているからである.従来から,海外の実証例を見ても住宅ローン選択モデルの推定において,金利変数は有意に負になりにくいことから,本実証研究結果は一つの成果である.この研究は海外雑誌に投稿すべく現在作成中である. 借手の住宅ローン選択行動を解明するためには,住宅ローンが多種存在する日本の住宅金融市場の特徴をモデルに組み入れることの必要性を認識した.そこで日本の住宅・住宅金融市場,住宅税制等の制度をサーベイし,神奈川大学のDPにまとめた.この研究は,実質的に変動金利型しか存在しないオーストラリア,イギリスとの比較研究を行うことでさらに深化する.比較研究への第一歩として,国内の連携研究者とオーストラリアの連携研究者と打ち合わせを行った.
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Research Products
(1 results)