2011 Fiscal Year Research-status Report
応用経済学(都市経済学)からの道州制への提言:空間計量経済学による財政外部性評価
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23530264
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横井 渉央 東北大学, 情報科学研究科, 助教 (90344712)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 地方財政 / 実証研究 / 空間自己相関 / 日本 / 都道府県財政 |
Research Abstract |
まず、空間計量経済学、特に空間自己回帰モデルについての重要な二つの側面について、それぞれ理論研究・実証研究により検討した。「空間自己回帰モデルにおける説明変数と相関のある除外変数の影響」と題する研究は、空間自己回帰モデルのいくつかの推定法について、実際の実証研究で大きな問題となりうる、説明変数と相関のある除外変数の影響を、小標本の場合を含むシミュレーションにより検討するものである。空間自己回帰モデルの推定法についての理論的研究は蓄積されており、特に空間自己相関がある除外変数については、空間エラーモデルにより対応できるとされている。また、被説明変数の空間自己相関を考慮した空間ラグモデルに関して説明変数と相関のある除外変数が存在しないという理想的な場合については、一致性の理論的な確認や小標本特性の実験による確認が行われている。しかしながら、実際の実証研究を考えてみると、入手できずモデルから除外される何らかの説明変数が、モデルに含まれる説明変数と相関があるケースがほとんどである。よって、説明変数と相関のある除外変数のケースについての検討は重要である。本研究では具体的には最尤法(ML)・空間的2段階最小自乗法(2SLS)・一般化積率法(GMM)の性能を二つのRMSEにより比較した。シミュレーションの結果、ML・GMMが被る除外変数の影響に比べて、2SLSは大きな影響を受けることが確認された。特に、ある一定の条件下では、Data generating processにおける空間自己相関の検出も難しくなるほどの効率性の低下が見られた。また、Mathematica により、最新の手法 (複数の空間項・分散不均一性への対応)により空間自己回帰モデルを推定するプログラムの開発を引き続いておこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べた通り、空間計量経済学、特に空間自己回帰モデルについての重要な二つの側面について、それぞれ理論研究・実証研究により検討を進めているので。ただし、モンテカルロ実験の際に必要となる高い計算処理能力を持つ計算機は、年度中に適切な機器が発売されなかったので、次年度に購入を遅らせた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成 24 年度の計画:サーベイを進めるとともに、実証研究を行い、成果を各地の学会やワークショップ等で発表し、他の研究者と議論を行う。また、(時)空間自己相関モデルの分析においては、特にモンテカルロ実験の際に高い計算処理能力を持つ計算機が必要とされるが、平成 24 年度に購入予定の最新の計算機にその役割を担わせる。平成 25 年度の計画:前年度の発表によって受けたコメントなどから、サーベイの不足部分を補うとともに、研究を進め、論文の最終的な発表・投稿を行う。さらに開発を終えた時空間自己相関モデル対応の最尤法(ML)と一般化積率法(GMM)の推定パッケージの公開を行う。その際、既存の空間計量経済学パッケージとの性能比較を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(時)空間自己相関モデルの分析においては、特にモンテカルロ実験の際に高い計算処理能力を持つ計算機が必要とされるが、平成 24 年度に購入予定の最新の計算機にその役割を担わせる。海外での発表を1回もしくは2回行う。
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