2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530270
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丸川 知雄 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (40334263)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | モバイル通信 / 技術進歩 / 日本 / 中国 / 韓国 |
Research Abstract |
日本、中国、韓国のモバイル通信技術がそれぞれの社会に規定されて独自の進化をしているという申請した当初の仮説は、その後の現実の展開によって修正を迫られている。申請後の2010年末頃より、日本においてスマートフォンの販売が急速に伸び、新規販売の半分以上を占めるに至った。日本が独自の進化をとげていた状況は過去のものとなりつつある可能性が出てきた。一方、中国独自の携帯電話産業の発展として注目した「山寨」(ゲリラ)携帯電話は政府の規制強化もあって成長が止まりつつある。こうした現実の変化に直面して、改めて現状を把握し直し、仮説を設定し直す必要性を感じたため、研究実施計画で予定していた質問票の作成を行うことができなかった。その代わりに日本と中国のモバイル産業の発展プロセスと現状の把握に力を注いだ。日本に関する研究は、丸川知雄「日本の携帯電話産業--ケータイ先進国からイノベーションの袋小路へ」吉岡斉編集代表・『新通史 日本の科学技術 世紀転換期の社会史 1995年~2011年 第2巻』原書房、2012年2月所収として刊行した。中国については山寨携帯電話メーカーに対する現地調査を行い、その成果の一部は丸川知雄「技術のキャッチアップとキャッチダウン」佐藤幸人編『キャッチアップ再考』日本貿易振興機構アジア経済研究所 2012年3月所収に盛り込んだ。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本、中国、韓国のモバイル通信技術がそれぞれの社会に規定されて独自の進化をしているという申請した当初の仮説は、その後の現実の展開によって修正を迫られ、改めて現状を把握し直し、仮説を設定し直す必要性を感じた。そのため、研究実施計画で予定していた質問票の作成を行うことができなかった。他方で研究の途上ではあれ、平成23年度内に2本の論考を発表できたのは成果であった。
|
Strategy for Future Research Activity |
モバイル通信技術と社会という当初の問題意識を保持しつつも、当初考えていたハードウェアの面での技術進歩に社会が影響を与えるという仮説を修正し、むしろモバイル通信技術の利用も視野に入れた日本、中国、韓国の比較を行う方向で検討している。三カ国の大学生を対象にしたモバイル通信技術の利用に関する質問票調査を行い、三カ国の利用の実態を比較し、ハードウェア、ソフトウェアの技術がそれに対応しているか否かを検討する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に実施を予定していて果たせなかった質問票の作成、および調査の実施を平成24年度内には行いたい。
|