2012 Fiscal Year Research-status Report
特許の出願行動と企業パフォーマンスに関する国際比較研究
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23530278
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
張 星源 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (10304081)
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Keywords | 特許出願行動 / 企業パフォーマンス / 国際比較 |
Research Abstract |
本研究では、特許の出願行動と企業のパフォーマンスとの関係について、特許データベースPATSTATをはじめ、日米欧という特許三極のデータを活用し、企業レベルのデータに基づく国際比較分析を行い、日本企業の国際競争力を検討する目的とする。 24年度では、主に以下のような二つの作業を行った。 (1)既に23年度に整理できている企業レベルの特許データに基づき、日本製造業企業の特許引用状況と企業パフォーマンス(トービンQ)との間の関係を実証的に検討した。この研究は特許引用側と被引用側の特許技術分類の類似性に注目し、その類似性が被引用側企業のトービンQに与える影響を分析した。分析の結果では、企業間引用の場合は、引用された特許と被引用された特許の技術分類の類似性が被引用された特許を持つ企業のトービンQに有意なマイナスの影響を与えたことを示した。それは従来の分析と異なり、自らの得意分野における特許がライバル企業に頻繁に引用された場合は、当該企業にライバル企業の技術競争にさらされることを意味することを示唆した。当該研究成果の一部を2013年3月に京都市に開催された国際研究集会に報告した。 (2)日本上場企業財務報告書のうち、「経営上重要な契約」という情報に基づき、日本製造業企業のライセンス契約に関するデータ収集と整理を行った。こうしたデータを契約先によって、日本国内企業のみならず、国外企業、とりわけ米国企業に分類し、日本製造業企業の特許出願行動とライセンス行動との関係を考察するためのデータ構築を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東北地方太平洋沖地震などの原因で、協力者である連携研究者との連絡調整がやや不備があったため、当初の計画に比べ、1年目がやや遅れていたが、2年目の24年度ではおおむね順調に展開している。理由としては、特許間引用と企業のパフォーマンスとの関係についての実証分析を実施し、ある程度の成果をあげたことと、より新しい視点を立って、特許出願行動とライセンス行動との関係を分析するためのデータ構築を行ったことなどがあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、整理されたデータに基づき次のような研究テーマを中心に順次に実証分析の計画を遂行する。 (1)、特許間引用、出願ルート、特許ファミリ等の要因と企業の短期及び長期的なパフォーマンスとの関係 (2)、企業の出願ルートや特許ファミリ等の出願戦略の変化及び決定要因 (3)、特許出願行動とライセンス行動との関係
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)米国企業の情報収集にあたり、データ購入や米国の連携研究者との打ち合わせ (2)研究成果を国内と海外の学会への報告及び学術研究誌への発表 (3)データ収集整理にあたり、引き続き大学院生による研究補助
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Research Products
(1 results)