2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530280
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
中山 雄司 大阪府立大学, 経済学部, 教授 (20326284)
|
Keywords | 電子商取引 / 出版産業 / 電子書籍 |
Research Abstract |
本研究の目的は,デジタル製品流通チャネルの登場が複数流通チャネルの管理問題に与える影響の理論的考察を行うことである。これまでに、Mussa and Rosen型の垂直的差別化モデルにメーカーを導入して、デジタル製品の登場が物理的製品市場に与える影響を分析する論文を執筆し、ディスカッションペーパーとして公開した。 論文では、物理的製品を高品質製品、デジタル製品を低品質製品と想定している。ただし、物理的製品の小売市場では費用条件が異なる2小売業者(小売業者Hと小売業者L)が活動する複占市場とし、デジタル製品はメーカー直販としている。上記の設定の下で、メーカーが物理的製品の卸売価格とデジタル製品の直販価格を決め、その後に物理的製品を扱う2小売業者が販売数量(メーカーへの発注量)を決める2段階ゲームのサブゲーム完全均衡を導出し、その結果とデジタル製品登場前の均衡の結果を比較した。 デジタル製品の登場により、物理的製品の販売数量は扱う小売業者に依存して異なり、費用条件が優位な小売業者Lは販売数量を増やす一方、費用条件が劣位な小売業者Hは販売数量を減らす場合があることや、物理的製品の小売価格が上昇し、物理的製品を購入する一部の消費者の厚生を下げることもあり得ることが明らかとなった。 この結果を、2013年度日本応用経済学会秋季大会で報告し、論文の結果をより分かりやすく図示して説明する方法などについて、有益なコメントを得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
物理的製品とデジタル製品(出版産業にあてはめると紙の書籍と電子書籍)の両方を扱う流通業者を導入した場合への拡張は、Calzada and Valletti (2012) Marketing Scienceが既に関連するテーマに取り組んでいることが明らかとなったため、この論文にはない新たな知見を得るために、モデル構築と分析が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度中には物理的製品とデジタル製品の両方を扱う流通業者を導入した場合への拡張に関連する、新しい知見がある論文を完成させる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物理的製品とデジタル製品(出版産業にあてはめると紙の書籍と電子書籍)の両方を扱う流通業者を導入した場合への拡張を論文にまとめ、海外の学会で発表する予定だったか、発表するまでの結果を得ていないため、旅費に未使用額が生じた。 平成26年度中には物理的製品とデジタル製品の両方を扱う流通業者を導入した場合への拡張に関連する、新しい知見がある論文を完成させ、学会発表のための経費に充てる。
|
Research Products
(2 results)