2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530280
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
中山 雄司 大阪府立大学, 経済学部, 教授 (20326284)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 垂直的製品差別化 / 流通チャネル / 電子商取引 / デジタル製品 / 音楽産業 / 音楽配信 / 出版産業 / 電子書籍 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、デジタル製品流通チャネルの登場がメーカーの複数流通チャネルの管理問題に与える影響の理論的考察を行うことである。 本年度は、昨年度までにディスカッション・ペーパーとして公開していたデジタル製品の登場が物理的製品市場に与える影響を分析した論文を改稿し、2015年3月12日にイギリスのHull University Business SchoolにおけるSeminars in Economics(http://www.hull.ac.uk/php/ecskrb/Seminar/Seminars.html)で報告した。改稿のポイントは、日本における電子商取引、出版産業、音楽産業の現状に関する最新の統計を反映させること、および導出した理論的結果をより平易に説明することである。後者については論文では、以下のことを示していた。デジタル製品の登場により、メーカーはその利潤を必ず増やすことができるが、物理的製品の販売数量は増える場合も減る場合もある。また、物理的製品の販売数量は扱う小売業者に依存して異なり、費用条件が優位な小売業者は販売数量を増やす一方、費用条件が劣位な小売業者は販売数量を減らす場合がある。さらに、物理的製品に関するメーカー限界費用がある条件を満たすほど低いと、費用条件が劣位な小売業者の販売数量がゼロとなるように卸売価格を上げる場合がある。これらの結果を2小売業者の最適反応関数のシフトおよび交点の推移として、メーカーの費用条件で複数のケースに場合分けして図示した。 今後は、上記セミナー報告で得たコメントを踏まえて、論文を2分割しメーカーの意思決定を明示的に取り扱わず小売市場にのみ焦点を当てた短編論文と、メーカーの意思決定を考慮し、紙の書籍と電子書籍の両方を扱う単一流通業者を導入した論文として公開し、学術雑誌へ投稿する予定である。
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