2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530283
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
吉村 弘 北九州市立大学, その他の研究科, 教授 (30034862)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 地域会計 / 地域間財政移転 / 移転補償的財政調整 / 社会保障的財政調整 / 地方交付税 / 地域間人口移動 / 地方分権 / 道州制 |
Research Abstract |
現在、日本は、地方分権に向けて道州制など地域再編が進められているが、その過程において、地域間財政調整は避けて通れない重要課題である。しかしながら、従来の財政調整は、地方交付税のように理由の如何を問わず経済厚生格差の存在そのものを根拠とする「社会保障的根拠」に基づいている。筆者は、それに加えて、地域間の「移転」の補償を根拠とする「移転補償的根拠」に基づく地域間財政調整が重要と考える。 そこで、本研究の目的は、地域間財政調整の新たな根拠「移転補償的根拠」を提供するために、地域間移転関係の実態を把握できるような「地域会計」の概念を構築し、日本のデータに基づいて、その実証的プロトタイプを作成することである。 平成23 年度は、地域間財政移転を包括的に把握する「地域会計」概念の大枠を構築することが主たる目的であったが、これについては、関連する文献や意見交換した研究者の間において種々の見方があるので、それを1つにまとめることは短時間では困難であるように思われる。そこで、筆者の考えを中心として、実証的プロトタイプを作成するための1つの考え方にそってまとめ上げるのが賢明であろうという考えに到達した。次に、財政移転を数量的に把握する制度上の概念を明確にするために、地域間財政調整について先行研究を参考にしながら、「地域会計」の概念構築のために資する作業を進めているが、いくつかの地域について財政移転を数値として把握して「地域会計」の一部を試作しつつある段階である。 この意味で、この初年度は、全体としての作業の流れを、研究者の意見を参考としながら、方向付けを確認し、試作を試みるという点で意味ある年度であった。しかし、成果を学術論文等の形に表す段階には至らなかった。ただし、これは、当初から想定していたことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、地域間財政調整の新たな根拠「移転補償的根拠」を提供するために、地域間移転関係の実態を把握できるような「地域会計」の概念を構築し、日本のデータに基づいて、その実証的プロトタイプを作成することであるが、初年度である平成23年度は、その考え方全体について、いろいろな考え方を渉猟し、かつ、実証作業として、「地域会計」のプロトタイプの一部を試作することを目指したが、その結果、確信を持つには至らないが、次年度もこの方向を追求していくのが良いという結論に至っているので、成果を学術論文の形で発表する段階に到達していないけれども、それは当初想定していたことであり、おおむね順調に進展していると判断して良い。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、前年の作業に基づいて「地域会計」の概要を作成する。そのために地域間財政移転を陽表的に含む「地域会計」のプロトタイプを試作する。主として国民経済計算及び県民経済計算との整合性に留意しつつ、既存データによって推計可能な方式を追求する。その際、地域間の財政移転には種々のものがあるので、まず、それらを概念的に整理して、それらを、できるだけ包括的に取り入れるようにすると同時に、地域間移転を数量的に把握できるようにしたい。これには、今年度の調査研究に照らしてみると、かなりの時間を要すると思われる。すべての都道府県について作成することは難しいと思われるので、いくつかの地域について試作する。平成24年度は、私が主指導教員として指導している博士学位請求論文提出予定者が4人いるので、そのための指導にかなりの時間を割かざるを得ないが、本研究のためのエフォートは減らさないように努めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
移転補償的財政移転と社会保障的財政移転の把握の仕方、および、その実証的データの取り方について,また、数量的に把握する地域間の財政移転の具体的項目の概念的整理について、いろいろな見解を渉猟・確認し、資料を収集し、また、試作結果に対する評価・批判を仰ぐために、しばしば出張する。そのための旅費と、試作作業の資料整理などのためにアルバイト費用が必要である。また、通信機能を拡張する機器および携帯用機器の充実のために携帯用パソコンおよびその周辺機器を具えたい。次年度は、試作結果の評価を得るための出張、パソコン用周辺機器と消耗品などは今年度より少なめであろうが、おそらくデータ整理のためのアルバイト費用が多くなるものと予想される。
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Research Products
(2 results)