2013 Fiscal Year Annual Research Report
有期雇用者にかかる規制強化が労働市場に与える影響分析
Project/Area Number |
23530291
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
高安 雄一 大東文化大学, 経済学部, 教授 (20463820)
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Keywords | 韓国経済 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
韓国において2007年7月に施行された非正規保護法の有期雇用期間制限が、有期雇用者の契約期間等に与える影響について、昨年度に引き続き文献調査等により検証した。新しく蓄積された文献からは、銀行等の金融業においては無期雇用への転換が積極的に行われていることが再度確認された。しかし流通業については、非正規保護法が定める2年の期限以前に雇用が終了する傾向から、無期雇用への転換が行われるようになっていることが把握できた。 そこで2012年8月中旬から下旬にかけて、流通業において、無期雇用への転換が行われるように傾向が変化しているか否か確認するため、韓国出張を行った。具体的には、流通業に係る労働組合を対象とした実態調査及び研究機関等の研究者に対する聞き取り調査を行った。 その結果、ある大手流通企業においては、2013年に派遣を直接雇用かつ無期雇用に転換したことが明らかになった。また直接雇用かつ無期雇用に転換されても、賃金に変化はなく昇進機会がない点は、派遣の時と変化がないことが明らかになった。 さらに、流通業全体の傾向を把握するため、大手流通企業の労働組合が加盟する業界単位の労働組合及び研究者に聞き取り調査を行った。その結果、流通業界は大多数が無期契約に転換され、ほとんどは契約を打ち切られない点が明らかになり、無期契約に転換している実態が把握できた。また無期雇用に転換された者は、契約期間だけが無期になり、待遇は有期雇用や派遣の時と同じである実態が流通業全体のものである点も確認できた。 非正規職保護法については、有期労働者の契約期間が制限期間未満で終了するといった副作用が指摘されていた。平成25年度の研究では、これまでは副作用が顕在化したと考えられていた流通業についても、副作用が解消されてきた点が明らかになった点で、学術的に意義のある結果を残せた。
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