2011 Fiscal Year Research-status Report
創業時の所有構造と創業後のパフォーマンスに関する実証分析
Project/Area Number |
23530292
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
本庄 裕司 中央大学, 商学部, 教授 (00328030)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | スタートアップ / 存続 / 消滅 / 初期時点の状況 / 資金調達 / 株式公開 / 生存分析 |
Research Abstract |
本年度は,「先行研究のサーベイ」「推定方法の検討および試験的な分析」「データ入手・整理の検討」を中心に行った. まず,先行研究のサーベイについて,アントレプレナーシップに関する文献,および,企業の存続や消滅,所有構造や資金調達に関する論文を中心にサーベイを行った. つぎに,推定方法の検討および試験的な分析について,研究代表者自身のこれまでの研究で構築したデータセットを用いて,創業後のパフォーマンスを株式公開でとらえたうえで,株式公開の決定要因を検証するモデルを試験的に推定した.ここでは,競合リスク比例ハザードモデルを応用し,倒産や被合併など,株式公開以外の理由による消滅を反映した推定を行っている.実際に,設立時の規模の大きい企業やICT (information and communication technology) 企業が相対的に短期間で株式公開を行う確率は高いことを明らかにした.また,設立時に銀行借入よりエクイティファイナンスによる資金調達を行う企業のほうが短期間で株式公開を行う確率は高いことを示した. さいごに,データ入手・整理の検討について,信用調査会社と交渉の結果,おおよそ入手可能なサンプルサイズおよび情報(勘定科目や企業情報)を確認した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定よりも順調に進展した点として,研究代表者自身のこれまでの研究で構築したデータセットを用いて,当該研究で用いる推定方法を確認したことがあげられる.実際に,統計パッケージを用いた推定まですすめており,あらたなデータセットを完成次第,推定に取り掛かれるまでのレベルに達している.加えて,創業後のパフォーマンスの研究として,株式公開の決定要因について一定の研究成果を得たことは予定よりも進展した点といえる. 一方,予定よりも順調に進展しなかった点として,今年度取得予定であった「企業データ」を実際に入手できなかったことがあげられる.とりわけ,希望していた情報をすべて入手することが難しい,また,希望していたサンプルサイズに届かないことが判明したため,今度,どのような方法でデータセットを構築していくかについて,あらためて検討を必要とする.
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き,データセットの構築に取り組む.すでにおおよそ入手可能なサンプルサイズおよび情報(勘定科目や企業情報)についての一定の目処がたったことから,今後,企業データを購入したうえで,推定に必要なデータセットの構築をすすめていく.とくに,企業データについては,代表者の個人属性を含めたガバナンス構造についての情報を継続的に入手することは容易でないため,初期時点での資本構成などの所有構造を中心に変数を設定し,モデルを再検討していく. 一方,株式公開の決定要因を検証した研究について,今年度秋に開催される日本経済学会での学会報告を予定している.そこで討論者から得られたコメントを参考に改訂を行い,その後,学術雑誌へ投稿する予定である.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(今年度予定していた)企業データについて,次年度に購入を予定している.
|