2013 Fiscal Year Annual Research Report
創業時の所有構造と創業後のパフォーマンスに関する実証分析
Project/Area Number |
23530292
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
本庄 裕司 中央大学, 商学部, 教授 (00328030)
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Keywords | スタートアップ / 存続 / 起業家 / 所有構造 / 資金調達 / 新規株式公開 / 生存分析 |
Research Abstract |
本研究では,日本のスタートアップ企業を対象に,創業時(初期時点)の状況がその後のパフォーマンスにどのような影響を与えるかについて,とくに,スタートアップ企業の新規株式公開 (initial public offering; IPO) の決定要因,資本構成の変化の状況,さらに,起業家の人的資本と創業後の事業の存続との関係に焦点をあてた分析を試みた. まず,スタートアップ企業のIPOの決定要因についてモデルの改善を試みた.また,推定結果から,初期時点での資産規模の大きい企業ほど,さらに,ストックオプションの付与がIPOの可能性を高めることを新たに明らかにした. つぎに,企業の資本構成の変化について,設立後に資本(純資産)より負債を増加させるが,企業間信用比率や未払金比率を減少させる一方,デットファイナンス比率,また,外部借入金比率を増加させている.すなわち,企業は単に負債を増加させるのではなく,資金調達としての負債の利用を高めている.このことは,企業が事業活動を進めることで情報の非対称性を緩和し,その結果,デットファイナンスの資金調達コストが相対的に低下することを示唆している. さらに,起業家の人的資本と創業後のパフォーマンスについて,倒産,自発的解散,被合併に分類したうえで,それぞれの決定要因を明らかにした.とくに,起業家の人的資本に注目して,教育を受けた起業家が経営する企業ほど倒産による退出の可能性が低い一方,こうした企業ほど自発的解散の可能性が高いことを示した.こうした違いは,成長産業や研究開発集約度の高い産業で異なることも示している. さいごに,本研究で知見として得た生存分析の推定方法を用いて,これを株式市場からの退出の分析に応用している.推定結果から,フリーキャッシュフローが多い企業ほど,また,市場での評価の低い企業ほど,MBO (management buyout) を通じた株式非公開化を行いやすいことを明らかにした.
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Research Products
(5 results)