2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530293
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
大沢 真知子 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (90223792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 明中 日本女子大学, 人間社会学部, 研究員 (20539069)
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Keywords | 経済のグローバル化 / 女性の能力活用 / ジェンダーダイバーシティー / ダイバーシティーマネジメント / 積極的雇用改善措置制度 |
Research Abstract |
経済のグローバル化が進展するなかで、所得の両極化が進展している。今年度は高学歴の女性に焦点をあてた。日韓社会で女性活用がどのように進展しているのかについてヒアリングをおこなった。また、夫の所得が伸び悩んでいる中で妻の就業行動がどのように変化しているのかについて、日本女子大学現代女性キャリア研究所が収集したデータを分析した。 また、韓国においては積極的雇用改善措置制度の実施が女性従業員や女性管理職比率に与えた影響を分析した。積極的雇用改善措置制度とは、積極的措置(Affirmative Action)を雇用部門に適用したもので、政府、地方自治体及び事業主などが、現存する雇用上の差別を解消し、雇用平等を促進するために行うすべての措置やそれに伴う手続きを言う。 当制度の適用対象である1,674事業所が2012年3月に雇用労働部に提出した資料によると、女性従業員比率は2006年の30.7%から2012年には35.2%まで上昇している。また、女性管理職の比率も同じ期間に10.2%から16.6%まで増加した。一方、2012年に初めて調査された女性役員比率は1,000人以上の事業所が7.4%、999人以下の事業所が8.4%といずれも低く、さらに対象の66.6%に当たる1,115事業所では、女性役員が一人もいなかった。制度の施行により女性の雇用環境が以前と比べて改善されてはいるが、まだすべての企業まで定着しているわけではない。しかしながら女性役員の登用は、大企業を中心に少しずつ増加しており、今後さらなる増加が予想されている。韓国における30大グループや金融会社における女性役員について調べた調査結果によると、2012年現在の30大グループや金融会社の女性役員数は182名で1年前と比べて34人も増加している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年は格差社会や労働力の非正規化や貧困の問題に焦点をあてたが、今年度は高学歴の女性に焦点をあて、女性の能力活用がどのように進展しているのかについて分析した。いままでの研究に別の方向から光を当てることで、経済不安やリクス社会が生み出されている背景がより深く理解できた。 特に、韓国においては女性活用に関する文献調査やヒアリング調査を行うことにより、韓国における女性の労働市場参加の現状を把握することができた。分析の結果は「韓国における積極的雇用改善措置制度の効果 ― 女性の雇用改善や地位向上に与えた影響 ―」と「女性大統領の誕生は女性の雇用拡大や地位向上につながるのか!」、「女性の活躍のための社会支出の再配分を!― OECDのSocial spending after the crisisを参考に ―」に一部反映した。また、分析の内容に関して、内閣府や経済産業省、そして大学の研究者などから数回にわたってヒアリング調査を受けた。 さらに実証分析の結果を2013年6月16日の2013年労働政策研究会(慶應義塾大学)や7月5日~6日までの日本労務学会(大阪国際大学)で発表することが決まった。
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Strategy for Future Research Activity |
ジェンダー・ダイバーシティーや女性の能力活用に関するヒアリングを実施するともに、経済の変化がどのような影響を世帯に与えているのかについて、いままでの研究結果をもとに、最終報告書の作成をおこなう予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の使用計画(H25年分60万円、H24年繰越88万円)の内訳は、旅費 60万円、人件費(謝金) 60万円、図書 5万円、消耗品 10万円、報告書印刷費 13万円など、合計 148万円である。
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