2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530293
|
Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
大沢 真知子 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (90223792)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 明中 日本女子大学, 人間社会学部, 研究員 (20539069)
|
Keywords | 経済のグローバル化 / 女性の能力活用 / ジェンダーダイバーシティー / ダイバーシティーマネジメント / 積極的雇用改善措置制度 |
Research Abstract |
経済変化に対してひとびとはどのように対応しているのか。今年度は、初職時の経済環境がその後の女性のキャリアや結婚や出産の時期にどのような影響を受けるのかについて分析した。興味深いファインディングのひとつは、高学歴女性の初職を辞めた理由の変化である。バブル世代の女性は結婚を機に労働市場を退出している女性が多いのに対して、就職氷河期やそれ以降の世代に就職した女性たちの離職理由は、「他にやりたい仕事があった」「仕事に希望がもてなかったから」が最多であった。1997年から2007年にかけて30代の男性の正社員の所得分布は下方にシフトしている。このような男性の労働市場の変化が女性の仕事に対する意識や将来設計に大きな影響を与えていることがわかった。もうひとつは、企業の女性の能力活用に関する日韓比較の研究をおこなった。その結果、一般に女性採用の増加や女性管理職の増加は利益に有意にプラスの影響をもたらさないが、AAを導入した企業は、導入以前に比べてジェンダーダイバーシティを実現させており、利益率にもプラスの影響がみられた。 なぜこのような違いがみられるのか。本研究では、日本の場合、男性の所得が減少し、女性の仕事への意識が変化しているにもかかわらず、企業は女性を集団で判断し、女性は結婚や出産で労働市場から退出する傾向が強いことから、男性とは異なる教育訓練が実施され、昇進や昇格にも遅れがでるといった統計的差別が根強く残っていることが女性の能力活用を妨げている要因であると考える。
|