2013 Fiscal Year Annual Research Report
世帯の意思決定と政策・労働・消費のマクロ的要因との関係の国際比較
Project/Area Number |
23530296
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
吉田 千鶴 関東学院大学, 経済学部, 教授 (70339787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 正子 甲南大学, マネジメント創造学部, 教授 (20596192)
天野 恵美子 関東学院大学, 経済学部, 准教授 (20375215)
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Keywords | 世帯内資源分配 / 出生 / 就業 / 幸福 |
Research Abstract |
本研究の主たる目的は、世帯意思決定メカニズムについて分析すること、その分析にマクロの文脈を加えることであった。 実証分析モデルを構築する為、1989~2004年「消費実態調査」の匿名データを利用し、衣料費を指標とする実証分析を2011年度に、世帯意思決定メカニズムの経済理論Collective理論を援用した世帯内資源配分の推計を2012、2013年度に行った。これらの分析結果には整合性があるとはいえず、Collective理論を援用した世帯内資源配分の推計結果は不安定で、大きな課題が残されているといえた。 世帯内の資源配分の推計から各世帯員の効用水準を特定するには課題が残されているため、個人の効用水準を主観的幸福度でとらえ、2010年のデータで社会的な背景や政策のマクロ要因が異なる先進5か国について、夫妻それぞれの幸福度と妻の就業、子供数の関係を比較分析した。それらの関係に、男女の役割分担などについての意識や家族政策のマクロ的な要因の違いが大きな差異を生み出しているといえた。特徴的であったのは、日本の妻の幸福度が、子供がいることフルタイム就業であることで有意に低下することであった。 これらの結果から、個人の意識が重要な要因であるといえ、将来の追加調査を視野に入れ、結婚や子供に関する意識などについて、京阪地区の女性の大学生と短大生に対し調査を2012年10月に行った。プライベートな質問項目を含む調査で回収数を確保するため、スノーボールサンプリング方式で調査票1196通を配布し、1113人の有効回答を得た。最終年度の分析結果のひとつとして、大学の偏差値と就業や結婚の意識には明確な関係がみられた。偏差値の低い大学の女子学生は、不本意ながら子育て後就業を再開するであろうと予想しており、子供をもつ日本の妻の幸福度が有意に低かった結果と合わせ、家族政策の重要性が高いことがいえる。
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Research Products
(11 results)