2011 Fiscal Year Research-status Report
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23530306
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
徳永 昌弘 関西大学, 商学部, 准教授 (30368196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
周 い生 立命館大学, 政策科学部, 教授 (80319483)
田中 宏 立命館大学, 経済学部, 教授 (10163560)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 / エコロジー近代化 / 移行経済 |
Research Abstract |
本研究の目的は、1980年代以降の欧州で発展した「エコロジー近代化」という理論的フレームワークの中で、計画経済から市場経済への移行経済諸国における環境ガバナンスの展開を検討することにある。メタ分析を用いた先行研究のレビューにより、移行経済諸国に対するEMのアプローチと研究成果を整理した上で、世界のエネルギー浪費国と言われる中国とロシアにおけるEMの発展と展望について、実証的に分析する。さらに、2004年5月及び2007年1月のEU加盟がEMの促進を実現したとされる東欧諸国と比較することで、移行経済諸国のEMの特徴と問題点、並びに到達点について、対象国のパネルデータ分析を通じて明らかにする。 本研究の初年度に当たる平成23年度は、メタ分析を用いた移行経済諸国のEM研究サーベイの第1段階作業として、主要な研究業績の収集とリスト作成を中心に行った。当初の研究計画では、既存の紙媒体や一般的なe-journalに加え、ロシアを中心とする旧ソ連・東欧諸国を専門とした学術データベースのEastView Information Servicesを活用する予定であったが、諸般の事情で契約を見送り(【現在までの達成度】の欄を参照)、英語、ロシア語、中国語の主要誌を中心に文献収集とリスト作成の作業に従事した。本作業は継続中で、次年度の前半中に終える予定である。 以上の基礎研究と合わせて、中国とロシアにおける環境・エネルギー政策の動向をデータに基づき検証するとともに、中国において関係者に対するヒアリング調査や調査報告を行った。研究の性格上、こちらの研究成果は迅速に発表する必要があるため、本年度の研究業績の中心となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では、ロシアを中心とする旧ソ連・東欧諸国を専門とした学術データベースのEastView Information Servicesを活用しながら、可能な限り効率的に必要な文献・資料・データを収集する予定であった。しかし、本年度における科研費の分割支給の影響で契約が困難になったことと、より安価で操作性に優れた別の学術データベースの存在が明らかになったことで、本年度の契約を見送ることにした。そのため、本年度中に作業を終える予定であったサーベイ対象の研究業績の文献収集とリスト作成に、半年程度の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の前半中をめどに、サーベイ対象の研究業績の文献収集とリスト作成を終える。続いて、収集文献の包括的サーベイを通じた研究成果の抽出とデータベース化の作業に従事する。上記を補完する作業として、移行経済諸国を含む新興国のEM研究をリードする海外研究者・研究機関から協力を得ながら、研究対象国の現地語の文献・資料・データの収集と現地での研究状況に関するヒアリング調査を行う。この点は、現地語での研究発表が一般的な中国とロシアについて、特に必要である。先行研究成果のメタ分析の有意性を高めるためには、一定のサンプル数を確保することが非常に重要になるため、中国語とロシア語を駆使できる研究補助者2名(可能であれば、それらを母語とする留学生)の協力を得て、効率的に作業を進める。 以上のメタ分析による研究成果を踏まえて、中国、ロシア、東欧諸国のEMの実証的検証を2段階に分けて行う。第1段階は、申請者によって環境・エネルギー関連のデータがすでに整備されている中国とロシアのEMに関する時系列分析から始める。第2段階は、これまでにEU加盟を果たした東欧10カ国(ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー、スロベニア、エストニア、ラトビア、リトアニア、ブルガリア、ルーマニア)の環境・エネルギー関連のデータベースを作成した上で、第1段階の中国・ロシア研究を通じて得られたEMの改良版モデルを適用する。その頑健性を検証すると同時に、EMを先導する西欧の環境先進国(特に、ドイツ、イギリス、スウェーデンなど)との接点が深まることで、東欧諸国が同じ移行経済諸国である中国・ロシア以上に有意にEMを進展させてきたかどうかを検証する。以上の3カ年の研究を通じて、移行経済諸国のEMの全体像がおおむね捉えられることになる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
先に説明したように、当初の研究計画では、ロシアを中心とする旧ソ連・東欧諸国を専門とした学術データベースのEastView Information Servicesを活用する予定であったが、本年度における科研費の分割支給の影響で契約が困難になったことと、より安価で操作性に優れた別の学術データベースの存在が明らかになったため、本年度中の契約を見送り、次年度に持ち越すことにした。 そこで、次年度は、研究作業を進める上で不可欠となる基礎文献の購入、資料収集・ヒアリングを目的とした現地調査、資料収集・整理及びデータベース作成作業を行う研究補助者に対する謝金に加え、上述のオンライン・データベースの使用料等に研究費を使用する計画である。このうち、オンライン・データベースについては、当初の予定通りEastView Information Servicesと契約するか、別のデータベース(integrumなど)にするかを検討のうえ、できるだけ早い段階で結論を出す予定である。
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Research Products
(21 results)