2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530306
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
徳永 昌弘 関西大学, 商学部, 准教授 (30368196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
周 い生 立命館大学, 政策科学部, 教授 (80319483)
田中 宏 立命館大学, 経済学部, 教授 (10163560)
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Keywords | 国際情報交流 / エコロジー近代化 / 移行経済 |
Research Abstract |
本研究の目的は、1980年代以降の欧州で発展した「エコロジー近代化」(以下EMと略す)という理論的フレームワークの中で、計画経済から市場経済への移行経済諸国における環境ガバナンスの展開を検討することにある。メタ分析を用いた先行研究のレビューにより、移行経済諸国に対するEMのアプローチと研究成果を整理した上で、世界のエネルギー浪費国と言われる中国とロシアにおけるEMの発展と展望について、実証的に分析する。さらに、2004年5月及び2007年1月のEU加盟がEMの促進を実現したとされる東欧諸国と比較することで、移行経済諸国のEMの特徴と問題点、並びに到達点について、対象国のパネルデータ分析を通じて明らかにする。 本研究の中間年度に当たる平成24年度は、前年度(平成23年度)に作成したメタ分析対象文献リストの内容を精査し、約400点の論文・書籍の要約等をチェックした上で、最終的な分析対象として約150点の文献を選択した。その過程で、当初予想した以上に英語文献の数が多かったことと、現地語(主にロシア語と中国語)で発表された文献の多くは英語でも発表されていることが判明したため、当面は英語文献のみを取り上げることにした。そのリストは出版物(徳永昌弘『20世紀ロシアの開発と環境』北海道大学出版会、2013年)の参考文献リストの一部として公開した。 メタ分析対象文献の内容は、所定の形式とルールに従って抽出され、データベース化されなければならない。検討の結果、国・地域別の共通点と相違点を探索的に分析することを重視し、1)どのようなEMの定義をしているか、2)どのようなEMの評価を下しているか、3)その決定要因を何に求めているかの3点を軸に整理することにした。分析対象となる文献は定性的研究が大半を占めるため、当面はシステマティックレビューとも呼ばれるメタ分析を進めることで合意した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に行う予定であったが、諸般の事情により見送っていた学術データベースを用いた文献検索・収集ならびにリスト作成の作業を本年度中に行い、メタ分析に必要な基礎段階は終了した。この作業に予想以上の時間がかかったため、本来は本年度の後半から始める予定であった分析対象の研究内容の抽出とデータベース化の作業は、次年度以降に繰り越すことになった。したがって、当初の研究計画と比べると、半年程度の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の前半中をめどに、メタ分析対象文献の包括的サーベイを通じた研究成果の抽出とデータベース化の作業に従事する。上記を補完する作業として、移行経済諸国を含む新興国のEM研究をリードする海外研究者・研究機関から協力を得ながら、現地での研究状況に関するヒアリング調査を行う。当初予定していた現地語での研究文献については、先に述べたように英語での成果報告と重複しているケースが多いことと、英語文献に限定しても相当数のサンプルが確保できたため、当面は分析の対象外とすることにした。 以上の研究成果を踏まえて、経済成長と環境負荷量の増減のパターンが大きく異なる中国、ロシア、東欧諸国のEMの実証的検証を以下の要領で進める。まず、中国、ロシア東欧のEMに関するシステマティックレビュー(定性的研究に対応したメタ分析)から始める。次に、定量的研究手法を取り入れた一部のEM研究を参考にして、そのモデルはこれらの移行経済諸国に適用可能かどうかを検証する。先に述べたように、メタ分析対象文献の大半は定性的研究であるため、定量的研究を前提にしたメタ分析の手法(分析対象となる説明変数の統合や回帰分析など)の適用は困難だが、何らかのかたちでEMの定量的分析が可能なモデルを提示することを最終目標とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の研究計画では、旧ソ連・東欧諸国を専門とした学術データベースのEastView Information Servicesを使用する予定であったが、より安価で操作性に優れた学術データベースであるIntegrumを使用することにしたことと、関係者の間での協議により複数アクセスが可能な共同利用の方が好ましいと判断したことで、その差額分が次年度に持ち越された。 本研究の最終年度に当たる次年度は、研究作業を進める上で不可欠となる基礎文献の購入、資料収集・整理及びデータベース作成作業を支援する研究補助者に対する謝金、ヒアリング調査や研究成果発表を目的とした旅費等に研究費を充てる計画である。
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Research Products
(18 results)