2012 Fiscal Year Research-status Report
金融危機による貿易構造の変化と株式市場の国際的な連動性の実証分析
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23530308
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
吉田 裕司 滋賀大学, 経済学部, 教授 (40309737)
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Keywords | 金融危機 / ティック分析 / 円ドルレート / オーダーフロー |
Research Abstract |
①データ整備に関しては、ThomsonReutersのTickHistoryを契約して、主要国の株価インデックスと為替レートのティック頻度のデータを学生アルバイトを用いて整備した。また、ThomsonReutersの日次データであるDatastreamと、EBSから為替レートに限定した、オーダーデータも購入した。 ②金融危機以降の金融市場の分析として昨年(H23年)度に着手した、EBSの外為市場におけるティックデータを用いた、財務省・日本銀行の介入効果の実証分析の改訂を行いDiscussion Paperとして刊行した(共著者:須齋正幸、長崎大学) ③上記の基礎研究として、外為介入がない通常日の、ティックデータによる指値注文の行動ファイナンス的な実証分析を行った。具体的には、全ての注文データから市場のティック事変的なorder book(注文「板」)を再構築したものを用いて、指値注文の「市場滞在時間」を説明する変数として、(i)当該指値注文の金額、(ii)当該指値注文とベストプライスの差、(iii)「板」にある注文金額の合計、(iv)直前の注文のスピード、を利用した。この研究結果に関しては、日本金融学会において報告を行った。 ④ファイナンス研究の専門家として、Joe French氏(University of Northern Colorado)を一週間招いて、円ドル市場介入と円ドルオプションの連動性の研究に関する打ち合わせを行った。 ⑤金融危機が各国の株式市場の国際的な連動性に与える影響の分析として、発展途上国に焦点を当てた実証分析を開始した。具体的にはアフリカ諸国を対象として、Diebold and Yilmaz(2010)の多変量時系列の分析手段を用いて実証分析を行っている。次年度に国際学会と国内学会において報告予定である。(共同研究者:杉本喜美子、松木隆、大阪学院大学)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①本研究の重要な基盤となる、高頻度の金融データの整備が完成し、必要なデータを抽出するプログラムソフトも完成した。 ②金融危機前と金融危機後の外国為替市場におけるティックデータの分析を行い、研究論文2編を全国学会で研究発表を行い、その内の1編はDiscussion Papersとして刊行することができた。 ③金融危機が株式市場の連動性に与える影響に関しては、アフリカ諸国(南アフリカ、モロッコ、エジプト、チュニジア、モーリシャス、コートジボワール、ザンビア、ナミビア)と先進国並びに経済大国(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本、中国)の株価指数と金・原油価格・実効為替レートの日次データの整備が整った。今年(H24)度末に打ち合わせを行い、分析手法の詳細を確定して、次回の打ち合わせ日時も決定している。
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Strategy for Future Research Activity |
①金融危機が実態に与えた影響である、貿易に与えた影響「Great Trade Collpse」を実証的に分析する。生産等に与えた影響をより明確に捉えるために、(i)国内の地域輸出データの活用、(ii)貿易データとしては高頻度な月次データの活用を行う。この条件を充たす貿易データを提供している日本の貿易を対象とした分析を行う。具体的には、国内金融市場並びに海外金融市場のボラティリティから月次データを作成して、この金融市場の変化が国内地域貿易に与える影響を分析する。 ②金融危機の金融市場の分析としての外国為替市場の分析においては、データサンプルを拡張した分析を行う。 ③金融危機がアフリカ証券市場の連動性に与えた影響の時系列分析については、7月に国際学会(Asia Pacific Economic Association)、9月に日本金融学会において、研究報告を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
①継続して金融データ分析を行うために、金融データ(Thomson Reuters, Datastream)のオンラインアクセスの契約を行う。また、貿易データの整備が必要ではあるため、世界貿易データを購入する。 ②大規模なデータを管理・分析するために、別個の独立したコンピューターを購入する。 ③今年度は、他研究者からのコメントを研究論文の改訂に役立てるため、多くの外部研究者との意見交換を行うことで研究旅費を用いる。また、研究成果を国内外の学会・セミナーにおいての研究発表を行うため、研究旅費を用いる。 ④また、完成度を高めた研究論文については、随時国際学術雑誌に投稿するため、英文校閲並びに投稿料として研究費を用いる。
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