2013 Fiscal Year Annual Research Report
金融危機による貿易構造の変化と株式市場の国際的な連動性の実証分析
Project/Area Number |
23530308
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
吉田 裕司 滋賀大学, 経済学部, 教授 (40309737)
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Keywords | 金融危機 / 金融市場の連動性 / ティック分析 / オーダーの滞在期間 / 外国為替市場 |
Research Abstract |
最終年度には、「研究の目的」である「金融危機時の株式市場の国際的な連動性」について、欧米を中心とした金融危機が発展途上国の金融市場に与えた影響の分析として、金融危機時のアフリカ証券市場に焦点を当てた研究を完成させた。具体的には、アフリカ七ヶ国(エジプト、モーリシャス、モロッコ、ナミビア、南アフリカ、チュニジア、ザンビア)の株式市場と、先進国並びに経済大国(米国、英国、フランス、ドイツ、日本、中国)の株式市場、商品市場(金、原油)、外国為替市場(ユーロと米ドル)の連動性について、Diebold and Yilmaz(2012, International Journal of Forecasting)のspillover計測手法を用いた分析を行った。 また、金融危機時における金融市場の動向の分析として、EBSが提供する注文データから豪ドル・円市場の実証分析を行った。分析結果としては、豪ドル・円のクロス市場において99%以上の注文で取引が成立する前にキャンセルされていることが明確になった。また、Susai and Yoshida(2012, KSU Discussion Paper)に基づいてlife-time分析を行うと、他の主要通貨ペア市場と異なり、注文額(volume)の影響が統計的に有意では無かった。米ドル・円市場、米ドル・豪ドル市場に加えて、クロス市場の豪ドル・円市場の三市場間の分次キャンセル率には統計的に有意な正の相関が確認できた。以上の分析から、豪ドル・円クロス市場は、三角裁定取引とアルゴリズム取引の複雑な形態であることが指摘された。 これまで三年間の研究の総括として、「外国為替市場における高頻度での価格形成の実態:注文データの分析」を滋賀大学で報告を行った。
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