2011 Fiscal Year Research-status Report
発展途上国における現金移転プログラムの有効性に関する研究
Project/Area Number |
23530313
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
児玉谷 史朗 一橋大学, 社会(科)学研究科, 教授 (00234790)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅見 靖仁 一橋大学, 社会(科)学研究科, 教授 (60251500)
URANO Edson 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (80514512)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 国際研究者交流 / ブラジル:ケニア:タイ:カンボジア:東チモール / 社会政策 / 国家財政 / 現金移転プログラム / 貧困削減政策 |
Research Abstract |
平成23年度は、3年計画の初年度であるので、(1)研究課題である現金移転プログラムの有効性と問題点について、理論的研究を含めて、プログラム実施の事例と先行研究の整理を行う。(2)初年度の対象地域である南米の現金移転プログラムについてブラジルを事例として取り上げ、現地調査を含め、研究する。この2点を23年度の研究の柱とした。 (1)については、本研究のメンバーはそれぞれ南米、東南アジア、アフリカの事情に詳しい研究者で構成しており、メンバーがそれぞれの地域の研究を進めた。また書籍、雑誌論文等の先行研究の整理を行い文献リスト形式のデータベースを作成した。論文は中南米31件、アフリカ38件、アジア5件、地域の特定無し36件、その他2件の合計112件。書籍は、中南米4件、アフリカ5件、複数地域2件、地域の特定無し7件の合計18件である。ウラノは、「条件つき現金移転プログラム」(CCT)について海外のシンポジウムで発表した。 (2)については、23年度は全員でブラジルの研究を実施し、3月に現地調査を実施した。中南米は、CCTを先駆的に実施した地域であり、実施国数が多く、導入されてからの期間も長い。なかでもメキシコとブラジルはCCTを最も大規模に行っている国である。児玉谷は、世界最大規模のCCTを実施しているブラジルについてまとめた研究ノートを執筆した(未発表)。そこでは背景(大きな所得格差・地域格差、貧困層を除外した社会政策)、連邦制・地方分権化との関係、CCTは当初地方政府が導入し、その後連邦政府の事業としたこと、政権にとっての意義等を整理して論じた。 ブラジル現地調査では、サンパウロ州の4市で調査を行い、州社会開発局、市の社会支援センター、市の保健局、学校等で聞き取りを行った。またCCTの受給者からも聞き取りを行った。現地調査の結果は、24年度の前半にまとめる予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に計画していたブラジルにおける現地調査は計画通り実施した。現金移転プログラムに関する文献の収集と先行研究の整理も予定通り実施し、データベースを作成した。ブラジルにおける現金移転プログラムの導入経緯に関する文献とブラジルにおける現金移転プログラムの成果の評価に関する文献を読み進める計画も実施した。現金移転プログラムに関する理論のレビュー論文の執筆という計画は達成できなかったが、ウラノが条件つき現金移転プログラムについて海外のシンポジウムで発表した。また未発表であるが、児玉谷がブラジルにおける現金移転プログラムについて整理して論じた研究ノートを執筆した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2年次である平成24年度は当初の計画通りアフリカを事例として焦点を絞り、現地調査を実施する予定である。ただし、交付申請書ではザンビア及びケニアの2カ国で現地調査という計画を申請していたが、2カ国で現地調査するのは予算との関係で厳しいため、ケニア1カ国に変更する予定である。 初年度に行ったブラジル現地調査の結果の分析、研究プロジェクトのウェブサイトの立ち上げ、インターネット上でブラジル現地調査の成果の発表、アフリカにおける現金移転プログラムに関する文献収集を交付申請書の研究実施計画通りに実施する予定である。 3年次で最終年度である平成25年度は、ケニアでの現地調査結果の分析を行うとともに、タイとカンボジアで現地調査を行う予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は交付された年度別予算をほぼ全額支出し、447円を次年度に繰り越したので、平成24年度の合計予算額に大きな変更はない。メンバー3名のケニアへの旅費に1,225千円程度、書籍等の物品費に137千円程度、人件費・謝金に8千円程度、その他に30千円程度使用する計画である。
|
Research Products
(1 results)