2012 Fiscal Year Research-status Report
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23530318
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
川畑 康治 神戸大学, その他の研究科, 准教授 (10273806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陳 光輝 神戸大学, その他の研究科, 教授 (00188509)
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Keywords | 産業構造変化 / 農業生産性 / 経済成長 / 因果性分析 |
Research Abstract |
本稿の目的である工業化と農業生産性の因果関係について計量分析を行い、東アジアにおいては工業化(農業労働流出)→農業生産性という因果性の結果を得た。また他の地域においては、ラテンアメリカで双方向因果性、アフリカでは農業生産性→農業労働流出という、それぞれ東アジアとは異なる因果性結果を得た。従来の理論的には国内市場の開放度が因果性に影響を及ぼすとされているが、貿易関連変数を加えた場合においても、各地域の因果性結果は変わらず、むしろ元の結果を強化する結果となった。 歴史統計においても同様の分析を行った結果、イギリスやオランダ等、工業化を実現した国々においては東アジアと同様の結果を得ている。これらの結果から、経済発展過程においては、国ない市場の閉鎖・開放に関わらず、「工業発展により農業労働力が流出し、その結果、農業生産性が上昇する」というpull effectが優位であることを示唆している。 こうした因果性分析結果について、さらなる要因(構造)分析のために、FDIや金融、人的資本、農業・非農業相対価格等の関連変数と、工業化、農業生産性との主要変数との因果性分析を行ったところ、各地域や対象期間等で結果は異なるものの、概ね工業化(農業労働流出)変数が他変数に先んじて変化する、という結果を得た。 また本研究は近年盛んにおこなわれている「産業構造変化と経済成長」の分野における理論研究からのインプリケーションを実証しているが、先行研究を整理する意味を兼ねて当該分野におけるレビューとしてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学会発表、学術雑誌等への投稿スケジュールが若干遅れている他は、研究分析面においておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度からの研究結果について、新たな変数や手法、モデル、データベース等を用いて再検討し、その頑健性を検討する。その後、精査後の研究分析から順に学会発表、学術雑誌への投稿等を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は在外研修であったため、研究費使用が当初の計画通り進まず、未執行が生じた。 次年度研究費の使用については、学会発表のための旅費、学術雑誌への投稿等にかかる手数料を中心に、分析結果の精査にかかわる費用等(データベース、計算ソフト、PC関連消耗品等)を計上する予定である。
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