2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530318
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
川畑 康治 神戸大学, その他の研究科, 准教授 (10273806)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陳 光輝 神戸大学, その他の研究科, 教授 (00188509)
|
Keywords | 産業構造変化 / 農業生産性 / 因果性分析 / 所得効果 / 相対価格効果 |
Research Abstract |
これまで「経済発展に伴う農業部門からの労働流出と農業生産性の関係」に関する研究においては、多くの研究で「産業間労働移動(農業部門からの労働流出)には、前提条件として農業(労働)生産性上昇が不可欠」という主張がなされてきた。この主張に関しては、その多くが記述統計や理論分析であり、統計学的分析に基づいた実証分析の蓄積が少ない、という弱点があった。 そこで本研究では、この命題に対し、東アジアおよび中南米地域を対象として農業(労働)生産性と農業労働シェアに対する因果性分析を行った。その結果、Granger因果性の観点から、概ね「農業労働シェアが農業(労働)生産性に影響を及ぼし、その逆の因果性はない」との結果を得た。特にこの結果は、非農業部門の労働生産性水準を考慮し、農業労働シェアが高い水準において、より頑健的であることが示された。これは政策インプリケーションの観点から、「農業生産性向上よりも産業間労働を促進する政策の方が経済発展に寄与する可能性が高い」ことを示唆し、従来の主張とは全く異なるインプリケーションを示している。 また同じ因果性分析において、「農業部門からの労働流出」は(エンゲル効果に関連する)所得水準と(各生産部門の技術要因に関連する)農業・非農業の相対価格からの影響を受ける一方、その逆方向への因果性はないことが示された。特にこの分析において、発展段階を考慮すると、初期段階にいおいては所得水準による産業構造変化への相対的な影響力が大きく、発展段階が進むにつれ、相対価格による影響力が増していくこと等が明らかとなった。
|