2011 Fiscal Year Research-status Report
労働市場と金融市場を考慮した混合寡占市場に関する理論的研究
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23530325
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
高見 博之 大分大学, 経済学部, 教授 (10264326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 保 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (00237413)
二宮 健史郎 滋賀大学, 経済学部, 教授 (30273395)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 経済政策 / 経済理論 / 混合寡占 / 内生的タイミング / 部分民営化 / 金融市場 / 労働市場 |
Research Abstract |
1980年代以降の公企業の民営化の流れの中で,公企業と民間企業が競合する市場(混合市場)の分析が進んできた。しかし,これまで分析対象は,財市場が中心であり,労働市場における賃金率や金融市場での利子率も含めた分析は多くない。そこで「企業行動の内生的手番」の考え方を,労働市場と金融市場も考慮して,混合寡占市場の分析に適用することを目的として研究を進めてきた。 本年度は,東京,神戸,札幌,熊本,大分での学会,研究会参加,資料収集,研究打合せを通じて研究を進め,以下のようなことが明らかになった。 (1)金融面を考慮した分析として,労働市場での報酬制度として企業が自発的にprofit sharing制度を採用する状況で経済体系の安定性を考察した。結果として,企業の一部がprofit sharing制度を採用する場合,経済の金融構造が安定的な場合には,profit sharing制度はさらに経済を安定化させることが確認された。以上の内容については,滋賀大学リスク研究センターのディスカッションペーパーで発表した。 (2)公企業の所有形態を考察する場合,完全国有化と完全民営化だけでなく,一部だけ民営化される「部分民営化」の形態も存在する。部分民営化比率の導出にあたっては,財市場での生産量の決定以前に,労働市場における賃金決定を分析する必要があるが,通常の手続きで均衡解(サブゲーム完全均衡)を明示的に求めるのはモデルの構成上困難な場合がある。そこで,分析範囲を財市場での数量競争に限定し,クールノー・ナッシュ均衡とシュタッケルベルグ均衡とを比較することにより,部分民営化比率で微分するという手続きなしに最適部分民営化比率を簡易に導出する手法を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金融市場と労働市場を考慮した混合寡占市場の分析の前提となる金融構造の考慮及び,公企業の部分民営化を分析する際の手法の検討が進めることが出来たため,研究初年度としておおむね順調に進展している,と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
関連する文献の資料収集を進める同時に,研究成果(途中経過も含めて)を発表し,研究の方法や進むべき方向について,より多くの研究者の方よりご意見・ご批判を頂きながら研究を続ける。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
震災対応のため,科研費が2段階支給となったことに伴い,第1回分(予定の7割)のみの支給になる可能性があることを前提に支出計画を立てたため,第2回支給分(予定の3割)については研究計画上,利用できない部分が12万円発生したため,次年度に繰り越すことにした。 繰り越し分については,研究分担者との研究打合せ,他大学研究者との意見交換,各種研究会での報告のための経費として使用予定である。
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Research Products
(1 results)