2012 Fiscal Year Research-status Report
労働市場と金融市場を考慮した混合寡占市場に関する理論的研究
Project/Area Number |
23530325
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
高見 博之 大分大学, 経済学部, 教授 (10264326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 保 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (00237413)
二宮 健史郎 滋賀大学, 経済学部, 教授 (30273395)
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Keywords | 経済政策 / 経済理論 / 混合寡占 / 内生的タイミング / 部分民営化 / 金融市場 / 労働市場 |
Research Abstract |
1980年代以降の公企業の民営化の流れの中てで,公企業と民間企業が競合する市場(混合市場)の分析が進んできた。しかし,これまで分析対象は,財市場が中心であり,労働市場における賃金率や金融市場での利子率も含めた分析は多くない。そこで「企業行動の内生的手番」の考え方を,労働市場と金融市場も考慮して,混合寡占市場の分析に適用することを目的として研究を進めてきた。本年度は,東京,神戸,札幌,静岡,福岡,大分,フロリダ,釜山での学会,研究会参加,資料収集,研究打合せを通じて研究を進め,以下のようなことかが明らかになった。 (1)混合寡占市場の分析範囲を財市場での数量競争に限定した最適部分民営化比率を導出する手法を前年度に引き続き検討し,その結果を日本応用経済学会で報告するとともに,そこでの議論を基に,図解による直観的な説明も新たに検討し,有効な分析道具であることを確認でき,韓国経済通商学会および,フロリダ大学の研究会において報告した。 (2)労働市場での賃金決定の状況を考慮し,民間企業のみ報酬制度としてprofit sharing制度を採用している場合に,公企業が完全国有化と完全民営化している場合から,先行業績にしたがい部分民営化比率の追加的な変化に注目し,sharing パラメーターがある一定範囲の場合は,完全国有化も完全民営化もともに最適ではないことが確認された。すなわち,民間企業のみがprofit sharing制度を採用している場合に,部分民営化が最適となる可能性があることが確認された。 (3)上記(2)に関連し,profit sharing制度の企業とそうでない伝統的な利潤最大化企業野2つの民間企業により構成される複占市場の場合,賃金決定のタイミングについては,profit sharing制度の企業が先手,伝統的企業が後手となる場合があることが理論モデルにより確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的のうち,重要な論点である最適部分民営化比率について,手法の検討が進む一方,先行研究に従った分析手法を用いても労働市場を考慮した場合でも部分民営化が最適である可能性があることを確認することができた。労働市場を考慮した分析を先行させたため,金融市場の検討が労働市場ほどには進められなかったが,全体としてはおおむね順調に進展している,と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに検討した最適部分民営化比率導出手法について,労働市場への適用を検討するとともに,金融市場固有の特徴も考慮し,金融市場の混合複占市場の分析への適用可能性の検討を進めていく。その際,関連する文献の資料収集を進める同時に,研究成果(途中経過も含めて)を発表し,研究の方法や進むべき方向について,より多くの研究者の方よりご意見・ご批判を頂きながら研究を続ける。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)