2013 Fiscal Year Annual Research Report
時間配分に着目した若年層の教育・所得・健康格差の要因と帰結に関する実証研究
Project/Area Number |
23530328
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
菅 万理 兵庫県立大学, 経済学部, 准教授 (80437433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉田 桂子 福岡大学, 経済学部, 教授 (80389337)
梶谷 真也 明星大学, 経済学部, 准教授 (60510807)
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Keywords | 人的資本 / 健康資本 / 時間配分 / 生活習慣 / 社会生活基本調査 |
Research Abstract |
本研究の目的は、就業状態や人的資本・所得、健康資本の格差について、その原因と帰結を、個人特性、時間配分、教育・訓練に注目し、マイクロデータを用いて明らかにすることである。 平成25年度、研究代表者・菅は従業上の地位が生活習慣や時間配分に及ぼす効果として、失業が個人の健康や生活習慣に与える効果についてのこれまでの研究成果を、査読付き英文学術誌Industrial Health の特集論文として発表した。パネル分析から得られた結果は、失業は主観的な健康観に影響を与えないが、メンタルヘルス、運動習慣、睡眠時間に影響を与えていたことであった。また、大学時代の時間の過ごし方が卒業後の従業上の地位の移行に及ぼす影響についてアンケート調査の結果を用いて分析し、非正規から正規への移行について、男女ともアルバイト経験が正の相関を持ち、男性については他人との交流時間が正の相関を持つことを明らかにし、その結果を研究会及びDPで発表した。 研究分担者の梶谷氏は、『社会生活基本調査』の匿名データを用いて、「普段の日」と比較した「休みの日」の生活時間の20年間の変化について、就業状態の違いに着目した分析を行い、男女とも有業者の休日の睡眠時間が年々増加している反面スポーツ時間が減少していること、男女とも有業者の家事・育児時間は休日のほうが長いが、女性無業者は休日のほうが短いことを示した。その結果は「公的統計のミクロデータの利用に関する研究集会」において発表された。また、玉田氏は、同じく『社会生活基本調査』の1991年、1996年、2001年の匿名データを用いて、1999年施行の労働基準法改正による女性に対する休日労働・深夜労働の解禁の影響を分析した。分析の結果、労働基準法の改正後に中高年層では女性正規労働者、若年層では女性非正規労働者の労働時間が長くなっていることが示唆され、その結果をDPで発表した。
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