2012 Fiscal Year Research-status Report
フル就業社会に向けた地域雇用政策が地域経済に及ぼす影響に関する総合研究
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23530330
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
加藤 恵正 兵庫県立大学, 政策科学研究所, 教授 (80161131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 真理子 兵庫県立大学, 経済学部, 准教授 (80275297)
マカベンターイケダ マリア 兵庫県立大学, 経済学部, 准教授 (40388236)
橋間 智博 兵庫県立大学, 政策科学研究所, 助教 (20382252)
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Keywords | 起業 / CSR / eds & meds |
Research Abstract |
昨年度の欧州調査に引き続き、本年度は、米国における雇用就業戦略の状況について情報収集を行った。フィールドは、2009年のハリケーン・カトリーナによって、市域の8割が水没したニューオリンズである。ここでは、「起業」を核に斬新な地域経済システムが構築されており、実際、全米から地域再生への支援に向けた起業提案が行われ、CSRの支援も受けつつ、採択されたアイデアはビジネス化している。一方、地域の復興に関わる社会課題についても、コンペ方式による地域再生に向けた様々な取り組みが実践されている。東日本震災の復興においても、かかる地域経済システムから多くの示唆を得ることができる。ニューオリンズ再生切り札のひとつとして位置づけられているバイオ・メディカル・ディストリクト設置についても、現地での意見交換を行った。Eds & Meds (Institutions of higher education and Medical Facilities ) における雇用就業プログラムにおいて、固有の地域再生への仕掛けが内包されていることが判明した。こうしたいわゆるハイテク領域での仕事と地域再生の関係においても多くに知見を得られたところである。実際には、Medicon Valley(Denmark/Sweden) 、神戸医療産業クラスターとの比較検討をも実施した。また、東日本大震災における被災地現場において展開する取り組みについても、昨年に引き続き実態調査を実施した。こうした調査結果を踏まえ、学会等での発表・意見交換を実施したところである。2012年度は、米国における起業がた地域経済再生の経験を踏まえつつ、東日本大震災復興に関わる雇用就業課題についての検討を行ったところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
米国での調査結果、東日本大震災被災地域における実態調査結果を踏まえ、学会等において地域雇用・就業のあり方について、意見交換を行ったところである。米国の起業を核とする市場指向型システムを、昨年度調査を行った欧州型システムと比較検討しつつ、日本型システム構築に向けた検討を行ってきた。また、ハイテク領域における雇用就業においても、ニューオリンズでの知見をもとに、Medicon Valley(Denmark/Sweden) 、神戸医療産業クラスターとの比較検討をも実施した。さらに、東日本大震災被災地における雇用就業状況についても昨年度に引き続き実施したことにより、被災地の「仕事」復興の推移を明らかにしたところである。その成果は、創造的地域社会の形成に向けた提案として、下記学会において報告した。 ・「大阪湾ベイエリアはBPE(Branch Plant Economy)の罠から逃れることはできるのか-神戸医療産業都市の試みから-」日本地理学会全国大会 産業研究グループ報告、2012年10月7日、神戸大学. ・国際公共経済学会「震災復興と創造的地域社会」(第5セッション、分科会III報告)にて、「震災復興と社会イノベーション」と題し報告、京都大学2012年12月9日.
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Strategy for Future Research Activity |
過年度における調査結果を踏まえ、日本型のフル就業社会に向けた地域雇用政策の構築を行う。その際、英国において実施された若年者雇用政策の実態、成果・課題についても検討を行う。 (1)2011・2012年度の成果について、データ・資料の整理を行う。 (2)英国における若年者雇用政策の実態について調査研究を行う。 (3)東日本大震災被災地域における雇用就業実態について継続調査を行う。 (4)上記(1)(2)(3)を踏まえ、日本型フル就業社会に向けた雇用就業政策を構築する。さらに、こうした政策が地域経済どのような影響をもたらすのかについて、検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度助成金 500,000円(交付予定) 旅費 240,000円(海外調査費) 人件費・謝金 160,000円(情報収集等) その他 100,000円(文具・ソフト等)
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Research Products
(2 results)