2012 Fiscal Year Research-status Report
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23530338
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小林 世治 日本大学, その他の研究科, 准教授 (50215331)
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Keywords | 地域経済 / 産業集積 / 中小企業 / 階層構造 |
Research Abstract |
1)大田区の工業集積にかんする基礎統計の整備 当初予定していなかった、工業統計調査・個票の「目的外利用」の申請し(平成24年8月許可)、大田区の工業集積の全体像把握を、より精度高いものにしようとした。製造業の全体と機械金属工業(旧中分類25~31:7業種、新中分類24~31:8業種)について、①従業員規模別・企業階層そして②地域(町別)分布を分析基軸として、平成12年・20年・22年の経年変化を追った。 2)機械金属工業の集積地域についてのアンケート調査の設計と実施 標本数を200に近づけるため、母集団の対象地域を大森地区・京浜島だけでなく、前回(日大調査2010)対象とした糀谷・下丸子・矢口、さらには南部地区(本羽田・西六郷・南六郷)を加え、主要な工業集積地を全て網羅することにした。当初の「補完調査」を経ることなく、全体構造を捉えようとするものである。質問項目については、前回煩雑だったり古くなった部分を整理すると同時に、この間の先行研究・調査結果と比較するため、新たに2つの項目を付け加えた。1つは「内製化」の傾向について、もう1つは「集積への依存度」を問うものである。さらに、零細層の動向から、「兼業化」の傾向の有無をも問うた。 3)東大阪地区工業集積の現地調査(平成25年2月14~15日) 大田区での現地インタビューを行う準備として、比較すべき大阪(とくに東大阪)地区の工業集積における組織的取組の現状を探った。前回調査が2000年秋であるから、12年半ぶりとなる。布施市の開発型中小企業、大阪市の企業団地組合、および東大阪市の自主的企業グループを訪問調査した。それぞれ組織形態が異なるが、いずれも従来の「成功体験」が崩れるか、「協同型」そのものの見直しが必要な時期に来ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
工業統計調査・個票の「目的外利用」の申請のため8月までかかり、アンケート調査の実施が、当初の9月から11月に延びた。さらに大田区が実施するアンケート時期と重なり、回収率を考慮して翌年1月に再延期した結果、併せて5カ月の遅れとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
工業統計調査(平成12・20・22年)および日大調査(平成20年)と今回のアンケート調査の各結果を組み合わせて、大田区工業集積の現段階を明らかにし、とくに「中・上位」規模企業の独自な事業活動(個別と組織)にも着目して、全体像を構築するという当初の目的を達成する。事業活動の積極性にかんする「兼業の有無」、企業間ネットワークにかんする「内製化」、そして「集積への依存度」という、これら新たな項目を活用して都市型工業集積の“衰退”の実情を探る。また、9(1)で述べた階層・地域に絞った、現地インタビューを行って、具体的な個別企業の動向を調査し、よりダイナミックな仮説の構築を行うつもりである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アンケート調査結果を分析するため、クロス集計等を外部業者に委託する。研究結果を日本中小企業学会東部部会で報告する予定で、そのため9月の全国大会に参加して、最新の研究動向を把握しておく必要がある。また引き続いて、産業集積および関連政策にかんする研究文献・資料も収集する予定である。
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Research Products
(1 results)