2011 Fiscal Year Research-status Report
「キャリア教育」の実効性-正課教育・課外活動・就職支援との分離と融合-
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23530342
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
浦坂 純子 同志社大学, 社会学部, 教授 (70289338)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | キャリア教育 / 職業教育 / 知識教育 / インターンシップ / 交互作用効果 / 普通科高校 / 職場見学 / 正課教育 |
Research Abstract |
「キャリア教育」は、若者の安定的な就業を促すことを目指して推進されてきた。しかしながら、未だ方法論が確立されておらず、教育現場の実情に合わせて様々に解釈され、運用された結果、期待しただけの効果が得られず、弊害さえ生じていることが懸念されている。そこで本研究では、就職に直面している高校、大学・短大を「キャリア教育」の実施段階として個別に対象とし、正課教育・課外活動・就職支援と関連づけてその実態を把握しながら、卒業後のキャリア形成過程における状況を評価することを通じて、あり得べき姿を模索することを目的としている。 本年度は、過年度に実施済みである普通科高校に対する調査票調査から得られたデータを用いて実証分析を行った。その結果、「キャリア教育」の実施状況を規定する要因としては、進学率が低い高校ほど、切実な「需要」に応じて「キャリア教育」を実施しており、「実施可能性」の高い環境に恵まれている小規模校ほど、実際に「キャリア教育」が実施できているということが確認された。加えて、「キャリア教育」を包括的、複合的に実施すること(多種多様)、また長年の「キャリア教育」の蓄積があること(継続性)、学校以外の地域や家庭との連携が充実していることは、単発、単独の試みよりも優位性を持つことが明らかになった。 また、高校教育における「キャリア教育」の位置づけや、卒業後のキャリア形成過程における状況等を確認するために、前掲調査の協力校および文部科学大臣表彰を受けた実績のある高校から6校を選定し、事例調査を行った。その詳細について引き続き分析を進め、さらなる事例調査につなげていくことを構想している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過年度に実施した普通科高校に対する調査票調査から得られたデータの実証分析が一段落し、その成果を雑誌論文および学会発表を通じて公表することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度から継続して、さらなる事例調査を行う予定である。調査結果は事例集として取りまとめることを考えているが、Webページによる発信を先行させる可能性もある。また、次々年度からの大学・短大を対象とする調査の準備に着手することも念頭に置いている。これについては、文科省による「大学生の就業力育成支援事業」に採択された180件の事業内容の整理と類型化を企図している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度に、調査結果フィードバック用としてWebページを拡充したが、一部未完成のまま積み残されたため、その構築作業を次年度の早い段階で完了させることを考えている。
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