2012 Fiscal Year Research-status Report
マルチエージェントシミュレーションによる日本の公的年金制度の分析
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23530346
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
村田 忠彦 関西大学, 総合情報学部, 教授 (30296082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蟻川 浩 奈良産業大学, 情報学部, 講師 (80425058)
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Keywords | 政策シミュレーション / 年金 / 世帯推計 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、研究代表者が実施してきた国民年金および厚生年金の個人単位のシミュレーションを実施し、個人レベルでの年金受給額を検討することである。研究代表者が構築してきたシミュレーションでは、対象を1000人とした個人単位のシミュレーションを実施してきたが、H23年度の研究成果として、6800万人規模のシミュレーションを実施し、1000人規模のシミュレーション結果と同等、かつ詳細な結果が得られることを確認したが、世帯形成モデルの導入にあたり、世帯構成員の収入に関する検討が必要となった。 H24年度は、世帯構成員の収入を可変パラメータとした実験を行い、国民年金における第1号、第2号、第3号被保険者(以下、①、②、③)により構成される6種類の家族世帯数(内訳:(夫、妻)={(①、①)、(①、②)、(②、①)、(②、②)、(②、③)、(③、②)})および独身世帯数の推計を行った。シミュレーション結果より、夫婦がともに第1号被保険者である世帯が22%から29%に増加することがわかった。第1号被保険者の月額年金額は65,741円であるため、夫婦で131,482円の月収となり、所得代替率は36.7%となる。低所得の独身年金所得者への対応とともに、1/3近い低所得世帯への対応の検討が必要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、H21年度に実施された日本全国8つの地区から収集した「国民年金納付者行動と年金額通知効果」の意識調査結果のシミュレーションへの組込みとその並列計算機による実行を実施する予定であった。 並列計算機による実行については実現できたものの、調査結果を組み込んだシミュレーションについては、H24年12月にシミュレーション担当の共同研究者が死去したため、シミュレーションを実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度は、H24年度に実施できなかった意識調査結果を組み込んだシミュレーションを行う。担当の共同研究者の遺したプログラムを改変することにより、シミュレーションを実施する。また、プログラムへの入力変数として規定している地域毎の経済データを異ならせたプログラムを実行することにより、地域毎の所得代替率の差異の検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度は、予定していた130万円の研究費のうち、98万2163円を使用し、31万7837円の残額が発生した。これは、謝金の対象としていたプログラム作成を支援する適切な担当者がいなかったためである。 H23年度の残額66万5803円と合わせて、合計98万3640円の繰越が発生している。H25年度に使用予定の120万円と合わせて218万3640円の使用を計画する。本年は、計算機の購入(50万円)国内学会出張(6回、計60万円)、国際会議出張(2回、計70万円)を計画する。また、プログラム作成を担当可能な該当者が見つかったため、40万円の謝金の支出を計画する。以上で、合計約220万円の支出を予定する。
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