2014 Fiscal Year Annual Research Report
マルチエージェントシミュレーションによる日本の公的年金制度の分析
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23530346
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
村田 忠彦 関西大学, 総合情報学部, 教授 (30296082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蟻川 浩 奈良学園大学, 情報学部, 講師 (80425058) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 公的年金制度 / エージェントシミュレーション / 社会シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,日本における年金制度の課題をシミュレーション技法により明らかにすることであった.本研究課題では,個人モデルのマルチエージェントモデルを世帯モデルに改良し,多様な就業形態をもつ世帯における所得代替率を推測し,現状の国民年金制度に加えて,政府および各世帯が施すべき対策を検討した. エージェントシミュレーションを世帯単位で行えるようにするため,本研究では,婚姻モデルを導入し,6種類の夫婦世帯((夫,妻)=(1,1),(1,2),(2,1),(2,2),(2,3),(3,2):1は1号被保険者,2は2号被保険者,3は3号被保険者を表す)の所得代替率の計算をおこなった.夫婦が共に1号被保険者である世帯数が22%から29%に増加すると共に,その世帯の平均所得代替率が36.7%になることがわかった.政府がモデル世帯(夫が2号被保険者で,妻が3号被保険者)に対して,目標としている所得代替率は50%であり,1号被保険者同士の世帯では大きく所得代替率が下回っていることが判明し,1/3近い世帯に対する対策が必要である事が明らかになった. また,地域別の所得代替率のシミュレーションを行い,北海道,東京,静岡,京都,福岡を対象に実験結果の比較を行った.地域別の所得代替率の計算では,各地域の平均所得に対する所得代替率を計算したが,北海道や福岡では,1号被保険者同士の世帯の所得代替率が20%を超えるものの,東京,京都などの大都市圏では,所得代替率が10%を超える程度にまで落ち込むことがわかった.各地域の所得水準が地域の物価にも反映されることを考えると,都市圏において,一層貧困が進むことが明らかとなった.
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Remarks |
社会シミュレーションに関する研究室のウェブサイトに本研究の内容を含めています.
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