2011 Fiscal Year Research-status Report
生産拠点としてのタイと日本の戦略-アジアの大物流センター構想-
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23530350
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Research Institution | Hiroshima University of Economics |
Principal Investigator |
野北 晴子 広島経済大学, 経済学部, 教授 (70228302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大矢野 栄次 久留米大学, 経済学部, 教授 (00152265)
益村 眞知子 九州産業大学, 経済学部, 教授 (80199710)
矢野 生子 長崎県立大学, 経済学部, 教授 (00268781)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | アジア / 物流 / 鉄道 / 南北回廊 / 産業再配置 / 雇用 |
Research Abstract |
本研究は、期間内に(1)日本経済にとってのASEAN諸国、とりわけタイの戦略的重要性について、(2)アジアの物流センターとしてのタイの現状と課題、(3)タイのアジア大物流センター構想に基づいた戦略的ODAの提案とその効果、を明らかにすることにある。 23年度は、東日本大震災の発生を受けて、研究目的に関連した被災地域の調査を実施した。これは、本研究の課題である日本の戦略を考える中で、仙台塩釜港とアメリカ、アジア(タイ)を結ぶ路線と日本国内の鉄道輸送による被災地の復興の可能性と日本企業の再配置を考えるためである。仙台では、そのための研究会をJRや地元商工会関係者を招いて開催し、実現可能性とそのための障害、それを克服するための方法について検討した。 タイでの現地調査では、日本からの援助によって進むインドシナ半島の南北回廊を利用した戦略が、すでに始まっていることを認識せられた。特に、タイの官僚は、インラック首相の最低賃金引き上げの政権公約をにらみ、回廊が通る国境付近に最低賃金の規制を受けない隣国の労働力を利用できる特別な工業団地を計画・建設中である。また、それに伴う新たな港の開発も調査・計画が進んでいる。一方、タイ最大の港湾レムチャバンでは、さらなる拡張工事が行われている。レムチャバン港に拠点がある日系企業へのインタビューを通じて、タイ国内のそのものの需要が増大していることがうかがえた。また、仙台塩釜港を経由したアメリカ航路の可能性と問題点について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画以上に進んでいるとしているが、実際には昨年秋のタイ大洪水にが研究結果の半分を明らかにしてしまったという状態である。すなわち、この大洪水は、日本のみならず世界中の生産に影響を及ぼしており、そのこと事体が、本研究課題であるアジアの生産拠点であることを実証し、大物流センターになりつつあることを如実に示した。皮肉にも、洪水で中断した研究計画であるが、その洪水が本研究目的の(1)日本経済にとってのASEAN諸国、とりわけタイの戦略的重要性、について明らかにし、(2)アジアの物流センターとしてのタイの現状と課題、を一部露呈させた。 また、タイでの現地調査によって、タイ国自身が進出企業の動きや近隣諸国との関係、そして地域格差是正という点から、次の戦略に動き出していることが明らかとなった。このため、本研究は、前倒しで研究をすすめる必要が出てきている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に生じた大洪水とミャンマーへの制裁解除は、タイ国政府の戦略及び日系企業の展開に大きく影響を与えるものである。このため、今後の研究の方向としては、次のような目的で行う。(1)ベトナムからラオスもしくはカンボジア・タイ・ミャンマーの南北回廊における、日系企業を中心とした現状での戦略に関する実態調査(2)それを踏まえて、鉄道を使った物流の展開についての提案作成 日本政府は今年インドシナ半島へ支援拡大を決定し、経済産業省はインフラ輸出を見込んだ政策展開のもとで企業支援を行っている。(2)の真意は、現在、研究分担者が進めている日本国内の新幹線物流構想をインドシナ半島に展開させることにある。これが鉄道産業を自動車に代わる日本の代表的な輸出産業となり、インフラ輸出よりも、インドシナ半島の国々に雇用を生み出し、インドまでつながる、より効率的な物流網の構築に役立つことを示す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画が進展したことにより、当初計画では重要視していなかったタイ近隣諸国まで広げたの現地調査の必要性が高まってきた。しかし、研究費の制約もあり、できる限り海外の現地調査旅費に振り向けた使用計画になることは避けられない。そのため、タイの洪水で中断したことにより未使用となった研究調査費を次年度に回すことで、予想していなかった研究の展開に対応することにした。 また、次年度の現地調査には、企業関係者が研究協力者として参加してもらえることになった。使用計画として、そのための出張旅費も計上している。
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Research Products
(2 results)