2013 Fiscal Year Annual Research Report
生産拠点としてのタイと日本の戦略-アジアの大物流センター構想-
Project/Area Number |
23530350
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Research Institution | Hiroshima University of Economics |
Principal Investigator |
野北 晴子 広島経済大学, 経済学部, 教授 (70228302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大矢野 栄次 久留米大学, 経済学部, 教授 (00152265)
益村 眞知子 九州産業大学, 経済学部, 教授 (80199710)
矢野 生子 長崎県立大学, 経済学部, 教授 (00268781)
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Keywords | 中間財貿易 / 現地調達 / 産業の空洞化 / 日本企業 / 生産波及効果 / ASEAN / 東西回廊 / AFTA |
Research Abstract |
研究初年度に発生したタイの大洪水によって、本研究課題の方向はタイが世界のサプライヤーになった後の段階へと修正している。自動車産業を中心とした部品産業の発達、人手不足と賃金上昇、ASEAN諸国間での自由貿易促進が、タイの生産環境を急速に変え、日本企業の戦略も多様化している。様々な角度からタイにおける日本企業の現状について現地でインタビューを行ったが、前年度までの調査結果は、タイの産業の高度化によって、日本への経済波及効果はますます小さくなる可能性を示唆していた。既に日本ではGDP比2割を切っている製造業は、その役割について限定的と捉えられ、政府の新産業戦略の中でも、IT産業や医療分野などサービス部門の戦略的推進が中心である。経済発展とサービス化が切り離せないと考えられるなら、先進諸国でのいわゆる産業の空洞化は当然の帰結ということになる。 しかし、本研究課題研究者の過去の研究から総合的に分析した結果、次のことが明らかとなりつつある。 ①製造業の生産波及効果は非常に大きく、それゆえに雇用創出効果は大きい。②タイの製造業は日本的ものづくりに最も近い。③日本の製造業は国内のみならず、アジア域内の生産増加に伴ってもたらされる波及効果が大きい。④タイで日本的ものづくりが行われ、現地調達が100%に近づくにつれタイのサプライヤーとしての役割が進化し、日本への生産波及効果は小さくなる。⑤一方、日本でなければつくれないものがある。それは技術力の差だけでは説明できない、発想のもととなる文化的背景の違いも重要な要素であると考えられる。⑥AFTAの進展で、インドシナ全体の産業再配置が進む可能性がある。ただし、それには、東西回廊をはじめとする物流機能と電力等のインフラ充実が不可欠である。⑦インドシナ半島の鉄道による連結が不可欠であり、日本の役割は大きい。 現在、上記の内容について、データにより検証中である。
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Research Products
(1 results)