2014 Fiscal Year Annual Research Report
中国の開発モデルにおける文化的要因の有意性に関する研究:実験経済学的アプローチ
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23530351
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
森田 憲 広島修道大学, 商学部, 教授 (10133795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 愛子 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (20403909)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 中国 / 長江デルタ / 文化的要因 / 体制移行 / 江蘇省 / 浙江省 / 開発 / 格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度科学研究費によって、長江デルタ地域の地域開発モデルおよび地域特性の比較検討を伴う下記のような研究を行った。 (1)「中国における地域間の相違」の捕捉を目的として、格好の対象である長江デルタ地域での地域間の「格差」問題の分析を試みた。江蘇モデルが「高成長・低共有」であるのに対して浙江モデルが「高成長・高共有」であるという相違の(とりわけ非経済的な)要因にあてられた。更に特に2014年度は、浙江モデルの内部に関わる考察を試みた。すなわち(浙江省における)「義烏モデル」と「温州モデル」に光を当ててその違いの分析を行なった。その重要な相違は開発に関わる地方政府の関与の差異であって、義烏モデルにおける義烏市政府のさまざまな支援体制を確認することができた。また(2)2013年度に引き続き、現在の中国における重要な問題である「バブル現象」に焦点をあて、中国のとりわけ長江デルタ地域の(非経済的要因を捉える目的をもって)「資本係数」の持つ役割の考察にあてられた。本年度の考察によれば、中国の体制の下で(日本のような自由主義・民主主義の国々と同様の)バブル現象が惹起されるとは考えづらいこと、したがってまた(日本と同様の)バブル現象の崩壊が引き起こされるとは考えづらいことが示された。さらに、(3)本年度の考察の重要な特徴は、「貨幣の効率係数」という概念を導入し、(同効率係数の非経済的要因の側面に関する一層の考察を伴って)同効率係数によって明らかになる日本と中国の相違、そしてその相違が「経路依存性」に起因するものであることを、長江デルタ地域に焦点をあてながら、明らかにしたことに求められる。 そうした諸考察を通じて、長江デルタ地域の地域開発モデルの特徴ならびに地域特性に関する成果が得られたものと考えられる。
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Research Products
(5 results)