2012 Fiscal Year Research-status Report
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23530357
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
大野 正智 成蹊大学, 経済学部, 教授 (60302311)
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Keywords | 国際収支 / 国際貿易 / 経済発展 / 価格 |
Research Abstract |
第1に、「世界各国の対外純資産」の研究として、日本、及び、世界各国の国際収支の動向、及び、対外資産・負債の状況について、昨年度の継続として、実証分析を行った。内容は、国際収支の6つの発展段階について、収集したデータ(175カ国×30年)を対象に、各国各年でどの段階にあるかを分類している。この国際収支発展段階説の研究は、その初めが1957年のCrowtherによるものと考えられていたが、その原型に該当するものが、1878年のCarinesの文献に見いだされ、学術的な流れをより明確化した。また、第1段階から第6段階にかけて、一人当たりGDPは、第4段階を頂点とする変化を示すことが昨年度確認できたが、この関係は、人口150万人未満の小国を除いた場合でも成立することを新たに見出した。今年度のこの研究の発表は、早稲田大学でのセミナー、及び、上海・東京での国際学会で行い、有益なコメントを受け論文改訂に反映した。また、専門誌投稿へ向けて英文校閲を専門家に依頼した。 第2に、「グローバルな低価格競争と国内価格」についての研究の1つとして、日本の貿易収支におけるJカーブ効果の実証分析を、昨年度に引き続き行った。Jカーブの形状における構造変化の統計的論点やその解釈をより整理明確化した。そして、福島大学の研究会で論文報告を行い有益なコメントを得た。現在、専門誌への投稿を試みている。 第3に、「インフレーション・デフレーション、及び、金融政策」に関するテーマで、今年度、新しい研究を開始した。これは、グローバルな低価格競争と国内価格の研究とも関連する内容として価格間の連動性に着目した時系列分析を行っている。今回のテーマにふさわしい統計的手法を取り入れるよう新しいコンピュータソフトを活用したり、専門的な文献を調査したりしながら、進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際収支に関する研究は1回の大学セミナー、2回の国際学会を行い、専門誌への論文投稿の段階まで進んだ。また、貿易収支に関する研究も、今までの研究成果を整理・精査し、論文投稿の段階まで進んだ。さらに、「インフレーション・デフレーション、及び、金融政策」に関する研究を開始し、データ入手・文献調査を進め、現在、実証分析におけるさまざまな統計的テストを行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
既存の2つの研究成果については、論文の投稿や、再投稿、あるいは、投稿中における改訂などのために必要な研究の推進が予想される。そのため、さらなる他の研究成果の調査や今までの研究成果の頑健性テストや拡張といった作業が見込まれる。 そして、今年度、新たに開始した「インフレーション・デフレーション、及び、金融政策」に関する研究については、その継続として、コンピューターを使用したデータ分析や関連文献の調査、さらに、研究成果の報告機会を得るなどの活動が見込まれる。また、これら計3つの研究と関連する研究として、さらなる発展拡張を目指した新しい研究の開始が見込まれる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の研究では、2度の国際学会出席とともに、他の研究者の研究成果を知る機会が多かった。そこで、自分が所属する大学の研究会に他大学の研究者を招待し論文報告への謝金を支払うといった必要が発生しなかった。主にこの要因によって、次年度使用額が0円以外となった。次年度は、書籍の購入、学会出張経費、論文投稿料、文具、コンピューター関連機器、及び、謝金で、支出計画があるが、主に、今までの研究成果のまとめ段階に関する経費や、関連テーマの新しい研究開始・継続経費としての出費となるものと見込まれる。
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