2014 Fiscal Year Annual Research Report
移民受け入れによる経済社会の成長・持続可能性の研究
Project/Area Number |
23530358
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
内藤 久裕 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (00335390)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 移民受け入れ / 社会保障 / 高齢化社会 / 持続可能性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回の科研費研究では、賦課方式の社会保障制度による発生する移民受け入れ効果を, 理論モデルと大規模重複世代モデルを用いて、アメリカ経済を対象として分析した。大規模重複世代モデルは、個人が100歳まで確率的に生き、消費、労働供給を決める、本格的なモデルである。最終的には、日本経済への影響が、研究の関心であるが、アメリカ経済に関しては、移民に関する数多くのパラメータ値が利用可能であること、またアメリカ経済では過去40年の間に人口比で15パーセント程度の移民比率の上昇を経験していることからアメリカ経済を対象にシミュレーションを行った。アメリカ経済においては、1970 年から2010 年の40 年間に外国人比率が10%ポイント上昇したが、このシミュレーションでは、今後、この比率がよりゆっくりとしたスピードで今後80年かけて、さらに10%ポイント上昇すると仮定した場合、どのような厚生効果があるかを分析した。結果は予想を大きく予想をくつがえし、アメリカ経済において、さらなる10%ポイントの移民比率の上昇は、経済にパレート改善をもたらし、その割引現在価値は、初期時点のGDP の20%以上になる、というものであった。また移民受け入れに伴い、社会保障を積立化できるため、資本ストックも50%以上上昇するという結果も得られた。分析においては、その理論的根拠も示している(Naito、2014)。 実証分析には、日本とアメリカに関する実証分析を行った。日本の実証分析では、移民の流入が、日本人の人的資本蓄積行動にどのような影響を与えるのかを分析した。結果は、移民の1%の流入は、日本人の18歳の個人が、大学に進学する確率を1%上昇させるというものであった(Naito, 2014)。アメリカ経済に関しては、移民の流入が、障碍を持っている労働者の労働参加にどのような影響を与えるかを分析した。
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