2013 Fiscal Year Annual Research Report
経済主体の異質性が金融市場取引に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
23530362
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
西出 勝正 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 准教授 (40410683)
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Keywords | ファイナンス / マーケット・マイクロストラクチャー |
Research Abstract |
研究期間3年間で以下の実績を上げることができた. 1) Nishide and Rogers (2011)では,経済主体の信念の異質性が市場淘汰に与える影響を理論的に明らかにした.具体的には,(i)消費財市場での淘汰と資産市場での淘汰は異なる概念である(ii)参照確率測度との対数尤度比が劣位にある投資家は消費財市場では完全に淘汰されるが資産市場では永続的な影響を与え得る,ことを示した.Sandroni (2000)などの既存研究では2つの市場の淘汰が区別されずに考察されてきたことから,本論文の結果は当該分野に重要な貢献を与えるものであると言えよう. 2) Ishii and Nishide (2013)では,情報の非対称性が存在する金融市場において,日中の取引量と価格ボラティリティのU字構造の理論的背景を明らかにした.具体的には,自然な数値設定の下で価格を設定するマーケット・メーカーの流動性供給パターンがU字構造の発生に大きな役割を持っていることを示した.既存研究では,完全競争的かつリスク中立的マーケット・メーカーを仮定した上で情報投資家や流動投資家の取引パターンのみに着目して日中取引の構造を分析する研究がほとんどだったが,本研究では非完全競争的なマーケット・メーカーを仮定することでその役割を考察対象にすることができた. その他,副次的な結果としてKijima, Nishide and Ohyama (2011)やElliott and Nishide (2013)などが査読付国際論文雑誌に採択された. 最終年度では上記論文に加えて幾つかの理論論文を完成させたが論文雑誌に採択されるまでには至らなかった.採択に向けて今後さらに論文の質を高めて行きたい.
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