2011 Fiscal Year Research-status Report
岩手県における主要企業と天候リスク及び天候デリバティブの活用に関する研究
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23530373
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
TEE Kian Heng 岩手県立大学, 総合政策学部, 准教授 (70325140)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 気象リスク / 天候デリバティブ / リスクヘッジ / リスクスワップ / GARCHモデル / Hellinger距離 |
Research Abstract |
本研究は岩手県の産業の天候リスク及び金融商品である天候デリバティブを活用した場合のヘッジ効果について分析する。岩手県は農林水産業・観光業が盛んであり,収益が気象変動に影響されやすい。各地域の産業と気象リスクとの関係を解明し,天候デリバティブの有効性を検証することで,企業の収益の安定化をもたらすことができ,ひいては地域経済の安定化に貢献できると思われる。 23年度は冬季における地域間の気温のリスクスワップが可能かどうか,地域間の気温リスクをヘッジするための気温オプションの価格設定について分析を行った。気温のリスクスワップは気温変動による利益の変動が排反する企業間がリスクヘッジのコストをかけずにリスクを交換することである。本研究は地域間で気温変動が異なるとリスクスワップの可能性があると考えて分析した。対象について内陸は二戸,盛岡,北上,一関,沿岸は久慈,宮古,釜石,大船渡の8都市とした。1977年から2009年までの平均気温について12月から2月までの各年の相関分析を用いて都市間の気温が同じ方向で変動している結果を得た。そして分散変動モデルであるGARCHモデルを用いて,気温の変動モデルの分析を行った。そのもとで気温シミュレーションを行ない,気温オプションのペイオフを計算し,Hellinger距離を用いて地域間の気温オプションに等価性を持たないことを示した。すなわち,地域間の気温のリスクスワップの可能性が低く,地域ごとに気温オプションの価格の設定が必要であるという結論を得た。 また,内陸北部の二戸の調査を行った。二戸市にアメダスがあるが,観測点のない二戸市の浄法寺地区までかなり距離があり,そのまま二戸市の気温を使うと気温差が大きくなる可能性があることがわかった。浄法寺地区に温度計を置くとともに近隣の観測点の気温による補完で気温差を比較する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災により,平成23年は岩手県内において混乱が生じていたため,現地調査を控えていた。よって各地域の産業と気象リスクとの関係の分析に遅れが生じている。しかし,気温リスクをヘッジするための分析ができているので,上記の分析ができ次第援用できる。
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Strategy for Future Research Activity |
岩手県を内陸北部,内陸南部,北上山地,沢内・湯田,沿岸北部,沿岸南部の6つの地区に分けてそれぞれの地区の主要産業あるいは特化している産業を調べ,それぞれの地域の主要産業と気象リスクとの関係を分析する。24年度は内陸中心,25年度は沿岸中心に分析を進める。 そしてオプション理論を援用して回避したいリスクの商品を設計して,費用対効果で商品が有効であるかどうかを検証する。また,気温オプションのみでなく,その他の気象リスクも考慮することで地域ごとのヘッジすべき気象リスクも分析を行う。商品の設計に関してBurning Cost法,確率分布法及び時系列分析法を用いる。上記の分析法は補償金や保険料などを決める方法であり,計算された保険料の差異について検討する。 気温オプションの分析に際して,佐野・Tee(2009)の手法に従い観測点のない場所での気温データを近隣の観測点による補完で作成する。作成したデータや近隣の観測データの差異を比較するために,独自に温度計を設置する。作成したデータの有効性や近隣の観測データを用いた場合の有効性について検証する。 以上の分析結果をもとに,天候デリバティブを使って観光客の誘致に有効であるかどうかを検証する。例えば避暑地などの宿泊施設の経営において猛暑となった場合,天候デリバティブ商品から受け取った補償額の一部(残りの補償額猛暑による減益の補填)を観光客に還元することで観光客を誘致することが可能であるかどうかを検証する。また,自治体の除雪費の平準化ができるかどうかを検証する。財政難と言われている岩手県の自治体の中で,除雪にかかわる費用が多い自治体がたくさんある。除雪費の平準化で財政赤字の軽減につながるかどうかを検証する。 平成24年度後半に内陸の分析結果をまとめ,論文にまとめる。平成25年度は沿岸の分析結果をまとめ,3年間の成果を総括する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)内陸北部,内陸南部,北上山地,沢内・湯田,沿岸北部と沿岸南部の6地区の主要産業あるいは特化している産業を調べ,主要企業と気象リスクとの関係を分析するための旅費(2)研究動向,成果発表などのために国内外の学会やセミナー発表などの旅費(3)最新の気象データ,データの計算・解析に必要なアプリケーションの購入経費(4)時系列などの分析手法,ファイナンス理論について近年の動向を参考するため関係図書の購入経費(5)雑誌に投稿するための校閲料と投稿料
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Research Products
(1 results)