2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530378
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
安藤 雅和 千葉工業大学, 社会システム科学部, 准教授 (00462169)
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Keywords | 金融論 / 統計数学 / 大規模データベース / 不動産 |
Research Abstract |
不動産大規模データベースから、信用リスクを考慮した価格評価に寄与するデータ項目を効率よく抽出し、それらを統合してモデル化するための基盤技術の創出を行い、不動産市場における物件価格のベンチマークとなる指標の構築を目指している。昨年度に引き続き、投資法人が所有する不動産を担保資産として組成された証券化商品である投資法人債のリスク評価モデルの推定を行い、別の不動産データを下にした証券化商品の開発に繋がる研究を進めた。不動産データとしては、インターネット上で公開されている情報や官庁統計データから入手可能な情報を収集している。そこから、物件の所得情報をもとに不動産市場の市場動向を探り、日本経済の景気動向を掴めないか検討した。そして、中小企業の資金調達のためのストラクチャーの整備にも生かしていけるような指標づくりに繋げようとしている。また、不動産を担保資産として発行されるCMBSやRMBSなどの証券化商品について、信用リスクを内包する債権を多数集めることでリスク評価がしやすく、優先劣後構造などによってリスクの程度を分けることで投資家のニーズにあわせた組成が可能なことから取引が拡大した金融商品であるが、リーマンショックでも問題視された通り、適切な格付けを行うことは難しく、信用リスク評価の重要性が高まっている。大規模な不動産データベースから格付け情報に寄与する項目を抽出し、金融商品の価格評価モデルを推定することを試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
不動産データを下にしたリスク評価モデルの推定を行い、実際の大規模不動産データベースでの運用を目指して取り組めている。ただ、不動産データの整備には時間がかかるため、ペースを上げて取り組む必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
データベースの整備も含めて研究目標の達成を目指す。不動産データベースには同一物件について、購入時や決算期ごとの物件情報が記録されているので、時価評価額の時間的変化に対して状態空間モデルを想定して、価格評価モデルの推定を試みる。状態空間モデルとは、直接には観測できない状態ベクトルから観測値が得られる様子を記述した、観測モデルと、状態そのものの更新される様子を記述した、システムモデルからなり、不動産の取引価格に関するヘドニック価格関数を観測モデルとすれば、不動産価格の形成要因に関わるパラメータの逐次的な変化を表す関数がシステムモデルとなる。一般に、観測値が与えられた下での状態の条件付き同時分布を求めるためには膨大な計算量を要するが、状態空間モデルに対しては、カルマンフィルターと呼ばれる逐次的な計算アルゴリズムによって状態の条件付き周辺分布を効率的に計算できる。さらに、モンテカルロ・フィルターを用いることでかなり緩やかな仮定の下で、柔軟なモデルを推定できる。さらに、大規模データからの有益な項目抽出について得られた結果を取りまとめ、成果発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データ整備のための費用と研究成果発表のために必要となる。
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Research Products
(3 results)