2013 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル社会の所得課税における効率性と公平性の調和
Project/Area Number |
23530386
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
望月 正光 関東学院大学, 経済学部, 教授 (40190962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗林 隆 千葉商科大学, 商経学部, 教授 (30306401)
野村 容康 獨協大学, 経済学部, 教授 (90383207)
山田 直夫 公益財団法人日本証券経済研究所(調査研究部及び大阪研究所), その他部局等, 研究員 (30638391)
高松 慶裕 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (90454016)
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Keywords | 二元的所得税 / 超過利潤税 / キャッシュフロー法人税 / ACE法人税 / 付加価値税 |
Research Abstract |
本研究の目的は、貯蓄-投資課税の効率性を維持しつつ、所得課税の財源調達機能と再分配機能による公平性を実現可能とする二元的所得課税の新たな展開について理論的側面と実証的側面から検討を行うことである。新たな二元的所得税とは、個人段階の累進的勤労所得課税とフラットな税率の資本所得課税に、法人段階での超過利潤税型の法人税を組み合わせたものであり、グローバル経済下で急速に高まる資本移動性の中で、効率性と公平性の調和を可能とする税制である。グローバル化の下で、今後国際競争力を維持しつつ、成長促進を図る点からも課税戦略として必須の税制の研究を進めている。 平成25年度は、現時点で最も完全な二元的所得税を実施しているといわれているフィンランドの所得課税について実証分析を行うとともに、法人段階での超過利潤税(とくに、ACE法人税)について、ベルギーのミクロ・データを用いて理論・実証の両面から分析を行った。また、新しい二元的所得課税の実施による財源調達不足の代替財源としての付加価値税(消費税)の研究も、さらに進展させた。 1.課税の公平性を徹底して追及しているという点で、現時点で最も完全な二元的所得税を実施しているといわれるフィンランドの制度を研究し、Statistical Finlandのマクロデータを使用して再分配効果の実証研究を行った。 2.平成24年度の実地調査に基づいて、超過利潤税実施国であるベルギーについて、BvD社のBEL-FIRSTから得られる個票財務データを用いて貯蓄-投資課税への効果について実証分析を行った。その実証結果から、限界実効税率の低下により、予想された通り負債資本比率の低下と設備投資を促進する効果が検証された。 3.代替財源としての付加価値税(消費税)の研究も進め、最も優れたタイプとして、政府や金融部門にも課税を行う包括的な付加価値税を検証した。
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