2011 Fiscal Year Research-status Report
中小企業金融の貸出手法と地域金融機関の組織形態の相違が地域経済に与える影響
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23530387
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Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
加納 正二 岐阜聖徳学園大学, 経済情報学部, 教授 (50319787)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 地域金融 / 中小企業金融 / リレーションシップ貸出 / ソフト情報 / 貸出手法 |
Research Abstract |
金融機関とのリレーションシップを一度変更したことのある中小企業は、その約3割がリレーションシップを再び変更している。リレーションシップ貸出においてソフト情報は重要な役割を果たすとされているが、吸収・蓄積・伝達されるメカニズムは明らかにされているわけではない。ソフト情報と地域金融機関の組織形態の関係を考察するために地域金融機関の職員構成や経営戦略に着目する。地域金融機関の営業活動においてソフト情報の吸収に重要な役割を担うと考えられる定期積金と渉外人員に注目して分析を行う。 定期積金比率と地域金融機関の収益性の指標とは負の相関関係がうかがえる。サンプルを地域金融機関の資産規模で下位10行のサブサンプルに関して分析するとさらにその負の相関関係は強くなる。しかし資産規模で上位10行のサブサンプルを分析すると符号は正になるが相関はみられなくなる。定期積金比率が地域金融機関のパフォーマンスにマイナスの影響を及ぼすのは特に規模の小さい地域金融機関であることがわかった。 渉外人員比率と地域金融機関の収益性の財務指標に関しては弱い相関であるが負の関係がみられる。定期積金や渉外人員数はソフト情報の吸収には重要な役割を果たすと考えられるが必ずしも地域金融機関の収益性とは直接的には結び付いていないと考えられる。 嘱託・臨時従業員の割合が高くなるということは熟練した正規職員の割合が低くなることであり、ソフトインフォーメーションの入手・蓄積・伝達に不利になり、貸出残高伸び率にも負の影響が出ると予想されるが、分析結果では逆に正の影響が見られた。嘱託・臨時従業員の割合が高くなればコストパーフォーマンスは良化されると考えられ収益性は上がる傾向が見られる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地域金融機関の組織形態の違いによるソフト情報の取り扱いについて考察した。ここでは職員の構成、すなわち渉外人員、嘱託・臨時従業員、女性職員の割合や定期積金の戦略に着目した。さらに精緻な分析は今後の課題として必要ではあるが、職員の構成や戦略による違いがある程度発見できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は組織形態のみならず地域性に着目し、ソフト情報、リレーションシップ貸出についての考察を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学会出張、備品、書籍費等に充当予定。
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Research Products
(3 results)